Know Target 5:Cinque Target 5 Cinque 目を覚ました時、あたしは保健室に寝ていた。 ご丁寧に学ランの上着までかけられて。 「お?目、覚めたんだな」 カーテンが開いて顔を出したのは、並中の保健医、Dr.シャマルだった。 「お前さんなぁ、雲雀が抱えて運んで来たんだぜ。 気分はどうだ?」 「あ…はい、平気です」 そっかー、雲雀さんが運んでくれたのかー…って。 あたしを抱えて? 顔が一気に赤くなる。 さっき殺されかけた相手だけど、こうやって学ランかけてくれたりして、本当にあたしを嫌ってるわけじゃないのかも。 「九条!大丈夫!?」 騒がしい足音と共に、ツナ達が入ってきた。 「…あはは、平気へいき! いやぁ、雲雀さんに喧嘩ふっかけちゃって」 笑顔を見せると、ツナは安心したようで、少し表情が緩んだ。 結局、転校の挨拶どころかクラスの人と話す事も出来なかったけど、リボキャラと5人も遭遇できたので少しは実のある一日だった。 ただ、リボーンと会えなかったのは心残りだったけど。 ―――"血ヘド吐くまで咬み殺してあげるから覚悟しておきなよ" そしてあたしは、明日からの学校生活に大いに不安を覚えたのだった。 さて、あたしは今、ツナの家にいる。 あたしが独り暮らしだと言うと、 「じゃ、じゃあさ、今日夕飯オレんちで食べていかない?」 とツナからの誘いがあったので、お言葉に甘える事にしたのだ。 その時、足元に小さな影がよぎった。 「ちゃおっス」 「リ、リボーン!」 出た、ボンゴレ最強殺し屋…! 「あ、この子が今朝言ってたリボーン君?」 「う、うん。 あ、こいつ時々変な事言うけど気にしないでね!」 リボーンはツナの心配を知ってか知らずか、あたしをじっと見据えた。 「九条桃だな。 今日のヒバリとのやりとり、見てたぞ」 見てたの―――!? 「あのヒバリにあれだけ言い返せるとは、お前すげえな」 いけしゃあしゃあと言ってのけるリボーン。 こっちは真面目に殺されかけたんだけどさ。 「お前、俺たちのファミリーにならねぇか?」 ………にゃんだって? 「ふぁ、ファミリー?」 ツナが「なに言ってんだよリボーン!」とか言ってるけど、あたしにとっては願ってもない話。 だが、あたしはマフィアの事は知らないと思われてるはずだから、すぐに「はい」とは言えない。 「お前は知ってるはずだぞ、ツナがボンゴレの十代目ボス候補だってな」 「!!」 何でこいつ知って…ああ、読心術か。 「何でマフィアとは無関係のはずのお前が知ってるんだ?」 ツナはわけが分からないといった表情だ。 あたしは冷や汗を浮かべる。 「言うつもりがねえなら、力ずくでも言わせるぞ。 マフィアの情報を持つ一般人ほど、危険な人間はいねーからな」 しばらく黙っていたがリボーンの気迫に押され、私はついに口を開いた。 「……あたし…未来を知ってるの。 と言っても、断片的にしか分からないけど… これから起こる大きな事件は大体知ってる。 綱吉はマフィアのボス候補で、赤ん坊の家庭教師がついてる事は知ってた。 あとは綱吉に関わる人物は殆ど知ってるよ。 でも、あたしは未来を誰にも話すつもりはない。 …これでいい?」 30%位嘘が入ったけど、ほぼ本当の事だ。 リボーンはニッと口角を上げて言った。 「なるほどな」 その仕草に、ついリンクを思い出してしまった。 「桃、お前は強制的にツナのファミリーなってもらう。 ボンゴレの事を知る以上、野放しにはして置けねえからな。 そこで、明日からお前に家庭教師をつける事にする。 家庭教師との特訓で戦闘力を身につけるんだ」 あたしはその家庭教師の名を聞き、心底驚いた。 今日からマフィア [*前へ][次へ#] |