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Target 2:Due



Target 2 Due



「しかし、至れり尽せりなお詫びだねー。
また中学校に通うことになるとは思わなかったけど…」


桃は一枚の紙を見ながら呟いた。


『この紙に、お前があっちで住む家の住所が書いてある。
あちらでお前は中学二年生ということにしてある。
まぁ余程の方向音痴でなければ迷う事はないと思うぞ』


そう言ってリンクに渡されたのは、旅行カバンと一枚の紙だった。
それが、この世界で桃の家となる場所の住所が書いてある紙である。
旅行カバンの中には最低限の生活必需品と困らない程度のお金の入った通帳。
まさに至れり尽せりだった。
しかし、並盛と言えど見知らぬ土地。
桃は、迷ってしまっていた。


「あたしは『余程』の方向音痴なんだよ…」


桃は一人嘆く。
誰かに助けを求めるにも、猫の子一匹通らない。
此処が並盛なのには違いないのだが。


「どうかしましたか?」


不意にそんな声がし、桃は振り向いた。
いたのは、"この世界"で最も出会いたくなかった人物。
藍と真紅のオッドアイを持つ、パイナッポーヘアの少年。


―――六道骸…


「い、いえ!何でもありませんから!」

「何でもないのに、こんな街中から外れた路地の真ん中で立ち往生していたのですか?」


言葉に詰まる。
やりたい放題していいとは言われたものの、この世界の時間軸が分からないうちからこの男に会うのは避けたかった。


「黒曜の制服だよね、それ」


苦し紛れに話を反らしてみる。


「君はどこの中学なんですか?」

「え、えっと…」


カバンをあさり、制服を見る。
入っているのは、並盛の制服だった。


「良ければ商店街まで案内しますけれど」

「あ、いや…お構い無く!
道に迷うのには慣れてるから」


「なるほど。
君は方向音痴なんですね」


―――この男は人が気にしてる事を抜けぬけと!


「…あんた、嫌い」


冷たく言い放ったつもりだったが、骸は(胡散臭い)微笑みさえ浮かべて手を差し出す。


「誉め言葉として受け取って置きましょう。
…それより、着いて来て下さい。
その住所の場所まで案内しますよ」

家にたどり着けなければ困るのは自分である。
桃はおとなしく、骸に着いて行く事にした。







「…ありがとう。じゃあ」

「おや、待って下さい」


無事に家までたどり着き、中に入ろうとすると、骸に呼び止められた。


「まだお名前を聞いていませんでしたね」

「どうして名前なんか?」

「…近いうちに、また会えそうな気がするからです」


意味深な言葉。
それは、並盛の生徒が襲われる事を指しているのだろうか。


「あたしは、九条桃」


「桃、ですね。
僕は六道骸と言います」


骸は、クフフ…と笑うと桃の手の甲に唇を落として、去っていった。


「え………」


桃はただ呆気にとられ、その後ろ姿を見ていた。



思いがけない邂逅



 

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