[携帯モード] [URL送信]

Know
Target 1:Uno


Target 1 Uno


気付けば、桃は見知らぬ場所にいた。
辺りは濃いもやに包まれていて、まるで雲の中にいるかのようだった。


「お姉ちゃん…」


いつのまにか、先程の少年が桃の隣にいた。


「此処は何処なの?
骸様を助けてって、どういうこと?」


第一、「骸」という人物は漫画の中の存在のはずだ。
しかし少年は答えない。
その時、何処からか声がした。


「それはオレが説明する」


声の主を探そうと辺りを見回すも、いるのは自分と、うつ向いたままの少年だけだ。


「下だ、下!」


言われるままに目線を落とすと、まだ2、3歳程の赤ん坊のような生き物が、物珍しそうに桃を見ていた。


「あ…アルコバレーノ?」


思わず、虹の赤ん坊の総称が口から出る。
その赤ん坊はニッと口角を上げた。


「近いけど違うな。
オレの名前はリンクだ」

「リンク…ねぇ、一体此処は何処なの?」


リンクはまた口角を上げる。
癖なのだろうか。


「此処は次元の分かれ道だ。
桃、お前の普段生活している世界は三次元だろ?
そういう『次元』の分かれ道が此処にある」

「そんな話…すぐには信じられないけど……て事は、この子が言う『骸様』っていうのはまさか…」

「二次元の六道骸の事だぞ」


桃は頭を抱えたくなった。
なぜ、自分が彼を助けなければいけないのか。

桃の心中を悟ったかのようにリンクが言う。


「心配ない。
というより、ぶっちゃけお前が此処に来たのは手違いなんだよな」

「ぶっちゃけ過ぎでしょ!手違いって何!?」


桃の隣の少年を示すリンク。


「こいつを三次元に飛ばすつもりがお前を道連れにして戻って来やがってな。
迷惑かけた詫びに、このままお前が好きな二次元の世界に飛ばしてやるけど、どうする?」

「え?」


つまり、この赤ん坊は人為的に異世界トリップを行うことができるということだ。
桃は迷った。
トリップ夢でよくある「物語を変えてはいけない」とか「向こうの世界で死んだら消えてしまう」といったルールがあれば復活の世界なんて怖くて行けたものではない。


「ちなみに向こうでは何をしようがお前の自由だ。
二次元も、お前たちにとっての三次元と同じに、存在のある世界なんだからな」


「…行く!」


こういうのを棚からぼた餅と言うのだろうか。
何はともあれ、九条桃は人生初のトリップを経験する事になる。



棚からぼた餅



 

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!