Know
Target 12:dodici
桃は、頭を打ったような痛みを感じて目を開けた。
黒曜ランドの廃墟の中にいるらしいが、カーテンを閉めている上に薄暗いので今が昼なのか、それとも夜なのか桃には皆目わからない。
そもそも、どれくらいの時間眠っていたのかすらもわからなかった。
「いっ…」
ズキッと頭が疼く。
幻術をかけられた副作用なのだろうか。
その時、コツ、と足音が聞こえ見上げると骸が穏やかな笑みを携えていた。
桃は骸をキッと睨み付ける。
「なんのつもり?」
「おやおや、怖いですね。
僕には、貴女自身をどうこうするつもりはありませんよ。
ただ、貴女には"彼"の相手をして頂きたいと思いましてね」
「…"彼"?」
桃が聞き返したとき、骸の後ろに人影があるのに気付いた。
「フゥ、太…?」
「桃姉…」
フゥ太がそこにいた。
いつか沢田家で夕飯をご馳走になった時、少しだけ遊んだくらいだったのに、フゥ太は桃を覚えていたらしく、か細い声で名前を呼んだ。
「彼にボンゴレ10代目の居場所を聞き出そうとしたのですが、沈黙の掟―――オメルタを守っているようでしてね。
僕らに対しては何を聞いても、ろくな返事をしようとしない」
「当たり前よ、フゥ太を見くびらないで。
どっちにしろ、あんたのような奴に私たちのボスは倒せない」
気丈に言い返す桃に骸は口角を上げた。
「"私たちのボス"…?
桃…貴女もボンゴレの一員でしたか」
「…だったら、なに?」
独特な笑い声を洩らした骸は、桃の顎を掬いとり目線を合わせた。
桃の睨むような視線は変わらない。
「君がここに捕らえられているとボンゴレが知れば、必ず助けに来るでしょうね。
ボンゴレは仲間を見殺しにするような男ではないでしょうから」
「え…?」
「クフフ…作戦変更です。
ランキングフゥ太はこれ以上なにも喋ってくれそうにありませんからね。
…貴女を人質に、ボンゴレを炙り出すことにしましょう」
囚われのお姫様
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