Know Target 11:undici 気付けば桃は、並盛の外れまで来ていた。 「…逃げちゃった」 ―――ありえないよ… あのディーノさんが私をす、好き、だなんて。 けど…ディーノさん、真剣だった。 桃の顔がまた、かぁっと赤くなる。 飛び出したはいいものの、行く宛てもないので近くの公園のブランコに座る。 「―――桃」 不意に、甘ったるい声で名前を呼ばれ、背中を悪寒が走った。 振り向けば、そこにいたのは。 「ろ、六道骸!?」 「おや、覚えていて下さったのですね…光栄ですよ」 「何の用?」 「クフフ…つれないですね。 貴女を迎えに来ました」 「は?どういう…」 言い終わらない内に、意識が遠ざかる。 幻術をかけられたのだと理解し、桃は骸を睨み付けた。 「む、くろ…」 「こうでもしないと、来てもらえないと思いましてね…。 しばらく、眠ってて頂きますよ」 骸の腹立たしい笑みを見ながら、桃は目を閉じ、意識を手放した。 今頃、自分を捜しているであろう家庭教師の顔を脳裏に浮かべながら。 遠ざかる距離 [*前へ][次へ#] |