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『笑顔』※甘


屈託のない
みるものすべてを笑顔にさせてしまう
太陽のような笑顔。




目の前でがつがつと、心底幸せそうに飯を口に放り込む。
乱暴な本能に任せた食い方なのに、それすら綺麗だと思ってしまうのは惚れた弱味ってやつだろうか?

「ルフィ、もっと落ち着いて食えよ」
飯を喉に詰まらせやしないかと心配になって見とれながらも兄として、恋人として、ルフィに忠告を入れる。
オレ自身、人様に忠告出来るような飯の食い方ではないが…。


「だって、エースの飯うめえんだもん!」
ニカッと満面の笑みでそんなこと言われたら
「そ、そうか?!」
こんなことくらいしか言えない。
(そんなこと言われたら、お兄ちゃん増々料理頑張っちゃう…!)


「エースの飯、本当に美味いなー!!」
手の動きは全く止めずに、口にたくさんの飯を放り込みながらルフィが嬉しそうに呟く。


「お前、飯食ってる時が生きてて一番幸せそうだよな」
ルフィががつがつ飯食ってる姿ですら可愛いなんて思っちまうのは、もう本当に重症だな…。


「飯はもちろんうめえし好きだけど、エースと一緒に食えるのが嬉しいんだ!」
恥ずかし気もなく、さも当たり前のようにそんな台詞を口にされて、なんだか自分のほうが照れてしまった。


それと同時に、心に暗い影が落ちる。
このルフィの笑顔が、自分以外の他人に向けられたら、オレは正気でいれるだろうか…?


永遠に一緒に居たいなんて甘い幻想を抱いてしまうけど、そんなことないって事ぐらい気付けるほどには、大人で。
だけど、それを自分の中で消化出来る程、大人にはなりきれない。
醜い嫉妬の塊は自分の中から永遠に消えてくれそうになくって。
だから、どんなに滑稽でも、微かでも、証明が欲しくて溜まらない。


「一生、オレがルフィに飯作ってやったり出来るかなんてわかんねーんだぞ。オレがいなくなっちまったらどーすんだよ?」
こんな聞き方は卑怯だなんて、自分が一番良くわかっている。
だけど、こんな聞き方しか出来ない自分が情けない。


「エースは、いなくなんねぇもん!ガキの頃、エースは居なくなったりしないって約束した! だから、エースはずっといなくならねぇ!」
どこからそんな自信が湧いてくるのかわからいほど、自信満々な顔でルフィが堂々と言うから。
たとえ絵空事だとしても、
その笑顔信じて、未来をゆだねてしまいたいと願ってしまうんだよ。


ルフィの絹のような黒髪に指を絡めて、
「あぁ、そうだな。こんな危なっかしい弟をおいてなんていけないからな。」
声が、笑顔が、存在してくれること自体が、
切ないほど愛おしい。


子犬がすり寄ってくるような、甘ったれた空気を纏いながら
「シシシ! エース、ずっと一緒にいてくれよ!」
そう言ったルフィの笑顔が、眩しい。




ルフィの笑顔が、自分の中の醜い塊を溶かして、幸せな色に変えてくれる。
こんなに大事な相手、世界中くまなく探したって他には、いない。




たとえ

いつか一緒に生きていけなくなったとしても

いつか違う世界にいってしまっても

離ればなれになったとしても

どんなことが起こったって

きっと愛さずにはいられないんだーー。






end



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