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『滴 L-said』※R-18!!! ※暗


エース、遅いな…。

暇つぶしにやっていたゲームは、永遠にレベル1で止まってて。
なかなか時間が進まない時計にばかりに、目がいってしまう。

(誰と、飲んでるんだろう。綺麗な女の人かな…。)

大学生の兄エースが飲み会で帰宅が遅くなるなんてことは、日常茶飯事で。
しかもバイトのあとに飲みに行くことが多い為、帰宅はいつも0時過ぎだ。

風呂でも入って、すっきりしよう。
思い腰をあげて、もやもやした気分も一緒にシャワーで流してしまおうと風呂場へ向かった。

のんびり湯船に浸かったら、少し気分が晴れた気がする。
わしゃわしゃと、乱暴に髪をタオルで拭いているとガシャンと玄関の扉が開く音と
「ただいまー」という聞きたかった声。

…!!!! やっと帰って来た!

バタバタと急いで玄関へ向かうと、ほんのり顔を赤く染めた、ずっと待っていた兄の姿。

「おー!エースおかえりー!今、風呂でた!」
無意識に頬が緩んでしまうのを感じながら、エースを出迎える。



「なんだお前、今頃風呂入ったのか?もう0時回ってるぞ、明日も学校だろ?」

エースだって、明日午前中から授業のクセに。
そう内心思っても、そんな子供っぽいこと言えなくって。

「一人だったから、いっぱいゲームしちった! エースは飲み会楽しかったのか?」
醜い嫉妬が、子供っぽい独占欲が、溢れ出ないように、精一杯な強がり。

「あぁ、まぁそれなりにな…!」
ーーなんでそうやっていつも曖昧に誤摩化すように、話すの?

「いつもエースばっかり、酒飲んで来てずりーよな!オレだって飲みてーのに!」
ーー飲みになんか行かないで、ずっと一緒にいて欲しい。

「ルフィはまだまだガキだろ、オレは大人だからいいんだよ。」
ーーオレとお前は違うんだと突き放すような言い方に、抑えていた感情が溢れ出す。

「…オレだって、エースと酒飲んだりしたい。いつだって、一緒にいたいのに…!」
そう呟いた瞬間、エースと視線がぶつかって、ごつごつとした綺麗な手がオレの髪に、触れる。


触れた瞬間、ぞくりと背中に甘美な響きが走った。
顔が火照っていくのを、感じる。


ガタン。



「うわ!ちょ、エース、なに…」
すごく、すごく驚いて、声が裏返る。
気付いたら、エースの唇が目の前にあって。


(あぁ、アルコールの、においがする)


自分のソレと重なっていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


オレ、エースがいなくちゃ生きていけない。


でも、守られて後ろにいるだけなんて、嫌だった。
エースに追い求められるようなものに、なりたいって願ってた。


いつだって、エースの瞳の奥にはフッと、急にどこかに行ってしまいそうな、ユラユラとした危なげな炎が揺れてたから。


オレの中で、エースは絶対的で、唯一無二の存在で。
目の前からいなくなってしまうなんて、考えられない。


だからいつもいつも、ダメな弟を。
手がかかる弟を、演じてた。
だって…、そうしたら、優しいエースはオレを見捨てて置いて行ったりなんて出来ないだろう?


どんなに、
滑稽でも
惨めでも
エースをオレ自身に繋ぎ止めておきたいんだよ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


増々、深くなっていく口づけに、息が出来ない。
エースの舌が、どこまでも追いかけて来て、ゾクゾクする。
頭が真っ白になっていく。


唇が名残惜しそうに離れて行くと同時に、大きく息を吸い込む。
足りなかった酸素を必死に取り込んでいると、肌に、火照った指先が触れた。


「エースっ…!酔ってるのか?!」


エースに、ずっとこうされたかった。
だけど、これは本当にオレ相手にしたいこと?
それとも、酔った勢いで、オレと他の誰かを重ねてる?


ーそう考えただけで、涙が出た。

だけど、エースの指先と唇はそんな考えを溶かしてしまうには、充分で。


(もう、代わりでもなんでも、抱いてもらえるだけで、エースの役に立てるだけで、いいや…。)


どんどんと進んで行く行為に、なにも考えられなくなって、快感に脳が支配されていく。
いつの間にかズボンも下着も脱がされていて、自身が露になる。
誰にもこんな姿、見せたことがなかったから、すごく恥ずかしくって。
「やだやだやだ!恥ずかしい!」と思わず、声を荒げてしまった。


「やだやだ言ってるのにルフィのここ、勃ってる」
エースの劣情を含んだ淫美な声が、オレを増々煽っていく。


「はぁっ…、えーす…っ」
声を出さないように、必死で唇を噛み締めても、我慢出来ずに唇の端から漏れていく、喘ぎ声。

エースの指に、声に、どんどん追いつめられて。
「も…、むりっ…で、でちゃうっ」
「いいよ、イって、オレにイクとこみせて…?」
そんなこと、言われたらもう、だめだっ…。

「っ…えーすっ…!」
愛しい人の名を必死に呼びながら、白濁を吐き出した。




達した後の倦怠感の中、ズプっ、エースの指が自分の中に入ってきた。
最初は痛くって、苦しかったその行為が、エースの指が中の壁を擦るたび、だんだんと快感を伴っていく。
「ルフィの中すっげェ、熱い…。」
ぼんやりとした頭に、エースの熱を含んだ声が響く。


気付くとエースの固くなったモノが押し当てられていて。
「っ…、るふぃっ…!」
ズプリと、自分の中に入ってきた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


エースと一つになれたことが、たとえ、誰かの代わりだったとしても、嬉しくって、幸せで。

エースはなんでそんなに、哀しそうな、泣きそうな顔をしてオレを抱くの?


そんなことも、激しくなる律動に考えられなくなっていき、
2回目の絶頂と共に、意識を手放した。




遠くで、エースが何か呟いてる声が聞こえた気がした。






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あきゅろす。
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