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短編・中編
りんさまより 「俺さま不在の2人の甘々」(3800000キリリク)

「はぁ、どうしよう…。」

今日は寝坊して、弁当を作れなかった。
仕方がないので食堂へ行こうかと考えて…いや、待てよともう一人の俺が呼び止めたのだ。食堂に行って前回、錦野先輩に遭遇してしまったという苦い経験がある。
そこで今回は、時間を少しズラす作戦にでた。さすがに30分も遅れていけば、大抵の人間は食べ終わっているだろう。よしよし。


 ―――そして冒頭に戻る。

 錦野先輩はいなかった。
 いかなっかけれど……門屋ヒカリがいた。

 遠目で確認しただけだけれど、モサっとした黒い塊の周りに、数人の生徒が囲んでワイワイやっているのが見えたのだ。
 その瞬間に俺の背に走ったのは、まぎれもない悪寒だった。
 入口で俺の姿を見つけて叫ぼうとする生徒達に、人差し指を口元にあててから、門屋のいるだろう方向を指させば、真っ赤になった生徒は全員、首がもげるんじゃないだろうかというほどに頷いて、俺をそっと逃がしてくれた。


 食堂で昼ご飯を食べ損ねた俺は、とりあえず生徒会室へ行くことにした。あそこなら、なにか口に入れる物があるだろう。

 そんな腹を空かせた俺を生徒会室の前で待っていたのは、会計の我楽だ。

「あ、葛西〜!俺にありがとうは!?」
「は?」
「あ・り・が・と・う。ハイ、言ってみて。」
「いやいや、なんで?」

 相変わらず訳の分からない緩男に、これ以上側に寄るなと手で制する。

「錦野先輩がいるよ。」
「……へ?」
「だからぁ、生徒会室で、錦野先輩が葛西の事待ち構えてる、よぉ?」
「ぇええっ!?」
「この前はちょっとだけ葛西にも悪い事しちゃったかなぁ〜とか、俺なりに反省したから…教えてあげようと思って―――って、ええ〜!葛西、ちょ、ありがとうはっ!?」


 我楽の言葉を聞いた瞬間、回れ右をした俺の足は競歩かってほど動いた。
 昼休み終わるまで、生徒会室へは戻れない。決定。



 どうしようどうしよう。

 立ち止まればどこからか湧いてくる生徒に声をかけられる。正直、お腹も限界だし俺さま取り繕うのも億劫なので、無言でただ進んだ。



 で、なぜか到着したのが風紀室。


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あきゅろす。
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