短編・中編 2 「…俺は、お前の相手をしてるほど暇じゃないんだ。悪いな、今度にしてくれないか?」 「――いや、今すぐ拳で語りあいて―よ。」 勘 弁 し て く だ さ い !!! 「そんな野蛮な行為、生憎生徒会役員はしないんだがな…。風紀は得意分野か?」 「……ああ、教えてやるから時間取れ。」 「間に合ってる。」 おーかーさーんっっ!いや、この際助けてくれるんなら誰でもいい!! この時間に生徒会室にいるのは、と見渡せば―――ピンク頭の会計だけだった……終わった…。 駄目だ、諦めるのはまだ早いぞ俺。 マッハの速度で、俺の横目は会計が手にする何かを掠める。 「おい!コラお前っ!!」 「ふぇ?」 「…その手にしてるモン何だ!」 「えぇー…?先輩に貰った新しいオモチャだけど…?」 「――そのてのモンは生徒会室に持ってくるなって…何度言えばわかるんだ。オイ、村上。」 「――は?俺、か?」 「アイツの持ってるモン、没収しろ。風紀委員の仕事だろう。」 「ああ?会計が何持ってるって……お前…それは、さすがに見ちまったら見逃せねーだろうが…。」 「ええええ!?ちょ、折角貰ったのに取り上げとか酷くない!?っちょ、かいちょー!何とか言ってよ〜っ。」 「とりあえず村上、ソレと一緒にあいつも連れて行け。処理は任せる。」 「……まあ現行犯だしな。」 「えええええええ!!」 ピンクの髪の毛が、村上に引っ掴まれるようにして連れて行かれる。 ――――助かった。 まんまと人身御供を差し出す事で難を免れた俺は、ホッとして椅子に深く身を沈める。 この生徒会に『俺さま』なんて存在しないのに。 こんな茶番はいつまで続くのか――――いや、続いたほうがマシだったなんて事は、その時の俺がわかるはずもなかった。 ……あ、会計の悲鳴が木霊してる。 おしまい [*前へ][次へ#] [戻る] |