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Short
水。(佐助×政宗)☆
水に濡れたワイシャツって萌えると思う。


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「馬鹿佐助ッ!!」

そう叫んで、政宗はパッと駆け出した。

俺は只、それを呆然と見遣るしかなかった。





こんなことになったのもついさっきの俺の言動が原因だ。

「・・・何、て、」

「ゴメン・・・・・別れよ」

淡々と呟いた俺を、政宗は信じられないという表情で見た。


「・・・冗談、だろ?」

「冗談じゃないよ」

「・・・・・寝言だって云えよ・・・」

「本気だから」

飽きちゃった。

そう云ったら、政宗は泣きそうな目でこちらを見遣る。

「・・・何で、」

「飽きたから。それで十分でしょ」

そう云ったら、右頬に熱が弾けた。

「・・・・・馬鹿佐助ッ!!」

・・・そうして、今に至る。





「あはー・・・嫌われちゃった」

頬を押さえながら、その場にズル、と座り込んだ。

屋上の風が気持ちいいけど、気分は真逆だった。

「あーあ・・・言い方考えりゃよかったかも」

そんなの後の祭りだ。

馬鹿みたい。

後悔先に立たず。

「・・・でも素直に云う訳にもいかないしね・・・・・」

親の事情でアメリカに引っ越すなんて。

きっと云ったら政宗は泣いちゃうから。

泣き顔なんて見たくないから。

「・・・ごめん、政宗」

きっと、あんたに対しての最初で最後の嘘だから。





帰り道。

いつもの溜池沿いの道を歩いて自宅に帰宅しようとしていたときだった。


―ザバザバ・・・


「・・・・・?」

確かここは進入禁止区域だった筈なんだけど。

スッと池を覘いてみる。

あ、と思わず声が上がった。


そこには、池の真ん中に向かう政宗の姿があった。

バッグは池を囲んであるフェンスに引っ掛けられていた。

「何、やってんの・・・」

と、政宗の行く先を見遣った。

そこには・・・

「・・・・・猫・・・?」

ダンボールに入った猫が池の真ん中の浮島みたいなところにいた。

おそらく政宗はその猫を助けに向かったんだろうけど、無茶もいいところだ。

その池はやっぱり深くて、政宗の腰辺りまで深さがあった。

「・・・・・」

やがてその島に着いた政宗が猫をそっと抱き上げた。

「大丈夫か?」

ニャーと猫が鳴く。

「そっか、今から飯食わせてやるから行くか!」

まるで言葉が通じてるかのように云った。

そして、また今来た水の中を歩き出した。


―ザバザバ・・・


後半分、ぐらいのときだった。


―ズルッ


足元が苔かなんかで覆われていたのだろう、足を滑らせた政宗が水中に消えた。

「ちょ・・・・・ッ!?」

よく見ると、猫は水上にいて、両手を上に上げているようだった。

「・・・・・ッ、馬鹿じゃないの!?」

俺は後先考えず、フェンスを乗り越え、バッグを放り出し、その池に飛び込んだ。


―ぐぃっ、


―ザバッ・・・


猫が鳴く。

びしょ濡の政宗の手を引き上げる。

そのときに俺もびしょ濡れになったけど気にしない。

「・・・、さ、・・・・・す、け・・・・・?」

「・・・・・ッ、溺れ死ぬつもり!?」

その場に立たせると、グッと手を引き陸に上がる。

「・・・何、で・・・・・」

「何でじゃないでしょ。あんなの自殺行為じゃない」

誰も来なかったらどうするつもりだったの!?

そう怒鳴ると、政宗は

「・・・・・それならそれでもいい」

・・・と云った。

「はぁ・・・?何云ってんの」

「・・・死ぬんなら別に死んでもいい」

「・・・・・何で?」

「何でって・・・・・どうでもいいからに決まってるだろ」

スタスタと歩き出す政宗。

「・・・ウチ寄って行きなよ。池の悪臭凄い」

「・・・・・」

同意してくれたようだ。





ザァ、と政宗が先にシャワーを浴びてるうちに、俺は先に子猫を洗面台で汚れを落とさせ、牛乳を与えた。

「どう、美味しい?」

にゃー、と子猫が鳴く。

「あは・・・よく解んないけど美味しそうだね」

ニコリと猫に笑いかけていると、俺の服を来た政宗が風呂場から出てきた。

「Thanks、佐助・・・」

「いえいえ。・・・じゃぁ、俺様も入ってくる」

そう云って風呂場に行こうとする俺を、政宗は手を引っ張って引き止めた。

「・・・・・?」

「どういうつもりだ?」

「え・・・?」

「飽きたんだろ」

・・・・・そういやそんなことも云ったような。

「・・・まぁね。でも困ってる人間をほっとけない性質ですから」

「・・・・・」

「それでいい?」

「・・・嘘だろ?」

「・・・はい?」

「どうせ嘘なんだろ、飽きたのも、ほっとけないのも」

「・・・・・」

どうして。

どうして・・・・・

「どうして・・・そうやって、嘘見抜けるの」

す、と手を離させた。

「・・・・・アメリカに行く」

「When・・・?」

「来月の頭。新学期にはいない」

淡々と告げた。

そうでもしなきゃ、俺が泣きそうだったから。

「・・・それで、別れる・・・って?」

「ご名答。そゆこと」

あは、と自嘲気味に嗤った。

「遠距離恋愛にも程があるでしょ。日本に戻れるとも限らないし」

「そんなこと、」

「あるでしょ」


俺様が耐えられないから。

政宗がどうでも俺様は無理なの。

ゴメンね。

自分勝手でゴメンね・・・・・


「だから、そんなんだったら、いっそのことって俺様から別れを告げた」

「Ah?・・・・・そんなの、」

その直後、政宗がとんでもないことを言い出した。



「俺も渡米すりゃいいだけの話だろ?」



「・・・・・」

何云ってくれちゃってるのこの子。

云ってる意味解ってるのかしら。

「・・・ゴメン、正気?」

「まぁ、狂気に走ってるようじゃなさそうだな」

そう云った。

「渡米って・・・そんな簡単に決めれるような話じゃないでしょ」

「俺の親父に云や、そのぐらいどうとでもしてくれる」

「・・・・・」

・・・あー、そうでした。

政宗はどっかの有名会社の社長子息でした。

「・・・・・そっか」

「だから、簡単に別れるとか云うな」

「・・・ゴメン」

「解ったらShower浴びて来い」

「うん、解った・・・」





翌日。


「転勤の話、無くなったから・・・」


・・・政宗に謝らなきゃ。



















(でも、本当に嬉しかったのは事実だから、それは否定しない)


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・・・・・猫は、現在政宗さん宅にいたりすればいい。

それで、ときどき来る佐助さんにやけに懐いて政宗さんが嫉妬すればいい。

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あきゅろす。
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