15
会長とモサ野郎に告白を受けてから2日が経った。あれから会長とは顔を合わせていないが、モサ野郎は毎日のように付きまとう。
今だって…
「悠斗っ、合いたかった!」
俺を見つけるなりギュッと抱きしめてくる。
「…朔君、痛いです。って、どこ触ってるんですかっ!」
「どこってお尻。」
いやいや、真顔で答えないでくださいよっ!
つか、男の尻を触って何が楽しいんだ。
「あっ!そうだ。俺の部屋で晩御飯一緒に食べようよ。俺、悠斗の好きなもの作るからさっ!それに……」
耳元でボソッと「出かけるとこ決めたいし。」っていうもんだから、ゾワゾワッて鳥肌がヤバイぐらい立つ。
「……分かりました。何時頃に行ったらいいんですか?」
「悠斗が来てくれるなら何時でも!一緒に帰るっていうんだったら、買い物に付き合って欲しいなぁ〜……なんて。」
とか言いながら、一緒に帰りたいって目してるし。
「はぁ…買い物に付き合いますから、待ち合わせどうしますか?」
そう言うとモサ野郎の目はパァと明るくなり、抱きしめるのをやめる代わりに手を握られる。
「放課後、俺が悠斗の教室まで行くから待ってて!絶対なっ!」
「って、また抱きつかないでください!ちょっと、なんでお尻も触るんですかっ!」
「悠斗、好きだよ。」
と、また耳元で呟くもんだから鳥肌が立つとともに顔が熱くなる。
「あー、照れてるっ!かっわいーな!」
「っな、からかわないで下さいっ!もうすぐ授業始まりますよ。」
「残念。あ、でも好きって言った言葉は本当だから。」
俺にしか聞こえない程度の声でそんな事言うから、恥ずかしい気持ちになる。
「じゃあ、放課後なー!!」
抱きしめていた手を解き、自分の教室へと元気良く走り去って行く。それを見届け、ガクッとうな垂れる。
はぁ、これから毎日あんなことされたら身が持たないな。
もう一度溜息をつき自分も教室へ戻ろうとするが、いつの間にかいた目の前の人物によって遮られる。
「し、のはら…ゆ…と。」
「?篠原悠斗は俺です。」
その人は片言で俺の名前を言うなり、まじまじと此方を観察するように見ている。
「かいちょ、ペアの?」
「?そうです。俺に何か用が有るのですか?」
「ただ、は…なし、たか、た。」
ただ、話したかった…って!
普通授業始まる前に声かけないで欲しい。
ゴーンゴーンと授業が始まる鐘の音がなる。
「あ、あのっ!失礼しますね。」
ペコっと頭を下げて小走りでその場から離れ、先生が入る前に教室へ乗り込んだ。その後、先生には"廊下は走るなよ"と注意をされ、午後の授業を受けた。
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