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09





「………はい?」
わけわからない発言をしだした目の前の美少年。


「悠斗、覚えてない?俺の事」

ごめんなさい、まったく覚えてません。
ってか、待ち合わせしている会長に怒られる!


「……すいません、その話は親睦会パーティー終わってからでも良いですか?」


「う、うん。急にごめん、行こうか。」


そういってモサ野郎はもっさくないカツラをかぶり、俺の手を引いていつものテンションに戻った。さっきのしおらしい姿は一体どこにいったやら。





会場入り口前に着くとモサ野郎は美形男子に連行され、俺はぼっちになる。

会長、美形男子と一緒に待っているんじゃなかったのかな?

周りをキョロキョロするが、会長の姿が見えない。


「篠原様遅れて申し訳御座いません。昶兎様は諸事情により先に会場内に入られましたので、私が代わりにご案内致します。」


そう言って会場扉を開けてる。
扉のすぐ近くに階段があって、そこを降りなければならないらしい。
ドレスが引っかからないように、ドレスの裾を左手で上げて階段を降りる。
右手は転けて落ちたら怖いので、しっかり手すりを握る。


んっ?なんか静かになったな?
足元ばかり見ていた視線を上げると全員がこちらを見ている。
どゆこと?そんなに俺、可笑しいの?


「篠原、来い。」
いつの間にか階段の下で会長が待っていた。
なるほど、これは会長のせいか。

あ、イケメンスマイルにやられた何人かが倒れてる。いつにも増して神々しいスマイルが眩しい。俺、他人の振りしちゃダメかな〜?





会長の元へ行くと手を差し出されたので、その上にそっと自分の手を重ねる。会長のこの行動はダンスの合図になっていて、他の生徒会の皆も位置につく。

位置に着いたところで音楽がなり始め、それと共にダンスの始まり。


ダンスは生徒会から始まり、その後は25グループに別れて踊る事になる。その中で一番気になったペアをパーティー後に集計し、翌日に発表するらしい。
確か、集計で一番のペアは景品があるんだっけ?
こういう行事はサボってたからわかんないや。そして、興味がない。


会長はダンスが終わってから生徒会の仕事があると言って、何処かへ言ってしまった。
暇なので近くの料理を摘まみながら他のペアのダンスを見る。
皆、慣れているのかとても優雅に見える。


「悠斗!」
とタキシードを着た金髪美少年に名前を呼ばれるが、誰か思い出せない。
誰だ?


「一曲お相手願いますか?」
かしずさんで手を取る美少年に尋ねる。


「え、と、どちら様でしょうか?」


美少年は一瞬驚いた顔をし、答える。
「さっき一緒にドレス着替えた和田原 朔。忘れたのか?」








…………朔
あぁ、モサ野郎か!




って、あれ、おかしいな。
さっきまでドレス着てたよね?
なんでタキシード着ちゃってるの?!




「え、と、ドレスはどうしたんですか?」



「悠斗と踊るために着替えてきた。」
な ぜ に ?!
ってことはドレス脱いで良いのかな?




「本当は駄目なんだけど、悠斗を独り占めする為には、悠斗とペアで皆の注目浴びなきゃいけないから。」



「それって、どういう………ってか、俺のペアは会ちょ……」




「昶兎より目立っちゃえば問題ない。」


そう言って俺の手を引いて、ダンスの輪の中に飛び入り参加する。


「大体、ペア以外に踊ってはいけないルールは聞いてないから。」



やや、強引ながらも目の前の美少年と踊る事になるが、翌日、本当に目立つことになるとはこの時は思わなかった。




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あきゅろす。
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