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とある少年の片思い

「一哉君、ぼ、僕とお付き合いしてください。」

俺、泉 一哉は今、男に告白され中。


「俺、君と喋ったことないよね?」


「そうですけど.....これから仲を深めていけばっ!!」


「そういうことじゃなくて、お互いのこと知らないのにいきなり付き合えないよ。」
こう言ってるけど俺には好きな奴がいる。


「ごめん。」
告白して来た男子生徒は泣きながら走り去って行く。
こんな事は日常茶飯事だ。
ここ、男子学園では。


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


「よっ一哉、また振ったんだってな!」
陽気に話しかけてくるのは、幼馴染の祐堵。
常にハイテンション野郎だ。

「あのなーお前はそんな事を大声で言うんじゃねーよっ。相手に失礼だろうが!」
頬をつねってやる。

「い、いててててー。わかった、ごめんなさい。」

「よろしい。」
つねっていた手を離してやる。

「けど、まぁ一哉の片思いも長いよねー。」
ニヤニヤしながら言う祐堵。

「何がだよ。」

「とーまちゃんだよ。いつからだっけ?」
調子にのる祐堵の後ろから首を締める。

「も〜照れんなよ、一哉。」
更にキツく締めてやる。

「ごめんなさい、ごめんなさい!調子に乗りました。」
素直に謝ったので離してやる。

「祐堵、また言ってみろ。なき者にしてやるからな!」

「ははー」
机に手を着いて頭を下げる。
本当にこいつは、昔っからこんなんだから疲れる。
いい奴で面白いんたけど、こういう所がたまにキズというか。

「うーす、お二人さん。朝っぱらから仲が宜しいな〜。」
後ろから声をかけて来たのは、クラスメイトの佐々木 哉真登。

「おー、哉真登お早うさんさん元気いっぱい!」

「祐堵は朝からハイテンションだなっ。ちょっと寝起きの俺からしたら大分ウゼー。」
ケラケラ笑いながら言う言葉にしては酷い。

「だろ、俺はみんなの元気の源だからなぁー!」

笑い合うふたり。
着いていけませんなぁ

「ところで一哉、お前昨日振ったんだってな!」

お前もかよ!


「けどな、とーまはやらんからなっ!」
流石、ブラコン。弟の事になると恐ろしい。
俺の好きな奴はこいつの双子の弟、登緒真。
兄の哉真登はやんちゃで、弟の登緒真はのほほーんとしている。

「可愛い弟をちょっとやそっとじゃ渡せない。いや、渡す気ないから。」
ここまで来たらもう重症だ。

「でた、哉真登のブラコン。弟が可愛い気持ちは理解できても、そこまでいかないなー」

「祐堵んとこ仲いいの?!見た目悪そうなかんじなのにっ!」
驚き過ぎて後ずさりする哉真登。

「失礼なっ!見た目は不良っぽくてもな、暁人は優しい良い子なの。」

「けど、俺、いつも無視されるよ?」

「人見知りなの。あと哉真登にどう接していいか分からないだけ!」

「そっか〜次あった時謝っとく。」

「うむ、宜しく。」
暁人への誤解が解けたのはいいが、

「お前ら弟の事になると暑苦しい。」
二人が険しい顔してこっちを見る。

「逆に聞くけど、なんで一哉はないの?」
何でって聞かれても.....

「お前んとこの弟は愛想悪いよな〜。俺としゃべる時、すんっげー嫌な顔するし。」

「それはお前がちょっかいを出すからだろ。普通にしてりゃ、風夜も嫌な顔はしない。」

「風夜はツンデレだよ〜。」

「成る程、素直じゃないんだな!」
その結論、風夜が聞いたら怒ってたな。

チャイムが鳴る。
と同時に担任が入ってくる。

「はぁい、席に着いて下さいね〜HR始めます。」.



今日も一日が始まる。


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


午前の授業を終え昼飯時、購買や食堂は混んでいた。

「やーんなっちゃうなー、こんな多いとさっ。」

「ほんと、すごい人だかり...」

俺らが食堂を入ろうとすると、キャーキャーうるさくなる。

「そして、毎度ながら騒がしい。」

俺らの名前が飛び交い、進めば、倒れる奴もいる。
周りの奴らとやる事は変わりはないのに。

「哉真登、何食べる?」

「お前」
ばかだ。バカがここにいる。
このやり取りを聞いたものはさらにキャーキャー騒ぐ。

「アホやってないで、さっさと注文しろ!」

「二人して取り合わないでっ.....ぐふぉっ!」
ふざける祐堵に蹴りをいれる。

「ごめんてー。あっ、とーまちゃんだ!とーまちゃーん。」
祐堵が食堂に入ってくる登緒真を見つける。
それに気づいた登緒真は走ってこちらに向かうが、何も無い所でつまづいてこける。

「と「とぉまぁぁぁぁぁ」

「……… 」

哉真登が一目散に駆けつける。

「大丈夫か、登緒真。」

「うん、大丈夫だよ。」

「どこも怪我してないか?」

「大丈夫だよ。おでこ打っただけだから。」

「大丈夫じゃないだろっ、見せてみ。」
登緒真の髪をかきあげる。

「少し腫れてる....湿布持ってくるから待ってろ。」

「い、いーよ、それより哉真登...周り見て欲しいな....」

周りは静まり、みなはこの兄弟に視線を向けいる。

「何見てんだよ。一哉の変態。」

「はぁ? 何で俺限定なんだよ!ど真ん中でそんな事するから悪いんだろ?」

「俺と登緒真があまりに仲が良くてやいてんのかぁ」
高笑いする哉真登。呆れてものが言えない。いや、バカに言う事は無い。

「や、哉真登ご飯食べよ?」

「そーだな、登緒真何食べる?」

「はーい、俺は唐揚げ定食を頼みましたー!!」

「登緒真は?」
今回は祐堵の話はスルーされる。
ブラコンパワー恐るべし。

「ハンバーグて…「ハンバーグ定食二つ下さい。」
最後までいわしてやれよ。
ため息をつく。

「か、一哉は何食べるの?」
俺に気を遣って登緒真が聞いてくる。
こんなことで少し嬉しく思ってしまう。

「じゃあ、俺も唐揚げ定食でっ」

「一哉、俺のこと...「違うから。」

「ちぇ〜まぁ、いいや食べようぜっ♪」

「あっ、あの〜席良かったらここどうぞ。」
四人組グループが丁度座っていた席を譲ってもらった。

「ありがとう。有難く使わせていただきます。」
にこっと微笑んで礼を言う登緒真に何人かは倒れてしまう始末に。

「だっ大丈夫?!」

「大丈夫ですっ、ごゆっくりお過ごし下さい!」
キャーと騒いでいそいそ帰って行く四人組の男子たち。

「あいつらとーまの可愛さにやられたなー」

「えっ?なんで?何もしてないよ?」
慌て出す登緒真
貴方の可愛さは犯罪的です。

「飯食おうぜって祐堵食べてるし。」

「早くしないと冷めてしまうからな!皆の衆いただくがいい!」

「「「いただきます」」」


「一哉、唐揚げひとつ頂戴」
と言って口を開けて待つ登緒真。
可愛い衝動に駆られるが堪えて、唐揚げひとつを口に運んでやる。


「ハンバーグも美味しいけど、唐揚げも美味しいねっ」
ニコニコして食べる登緒真。
可愛過ぎて食べるどころじゃない。


「俺もとーまにあーんするっ!とーま口開けて」

「う、うん」

「美味しい?」

「うん、美味しいよっ」

「哉真登、俺にもー!」

「しゃーねーなー、ほれっ」

「はふ、はひはほーほはへひー」

「サンキュー」
何か女子みたいなことしてんな俺ら。
なんだか恥ずかしい....


「あっやべ、もうすぐで授業がはじまる!」

「え、もう?みんな急いで食え!」

一気にメシを駆け込んで、教室に戻る俺たちだった。




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