親衛隊隊長の苦難15
「おやwwお早いお帰りですねw」
部屋に戻ると腐男子が趣味に浸っている最中だった。
「お前、授業は?」
「学年主席なんでw出なくていいのだおww」
要は授業免除だろ。
ふざけた喋り方してるのに頭は良いんだよな、こいつ。
「ちーはどったの?」
「あー、会長が暫く用があるらいからそれまでする事しとこう的な。」
「えっ!?ナニかしちゃうのww」
「滅びろ」
そう言って自分の部屋に籠る。
彼奴は事あるごとに"腐"に変換しやがって。
こっちの身になれってんだ。
クローゼットから普段は使わない大きめの鞄を取り出し、必要最低限の物を詰めて行く。勉強道具は何を持ってけば良いか結局わからず、重くなるが全教科詰めた。
「よっこらしょ」
よし、こんなもんだろう。
しかし腹が減ったなぁ。
部屋からでると腐男子はとっくに昼飯を食べに行ったみたいだ。
行くなら声かけてけよ。
仕方ない、一人で行くか。
空きっ腹を抱えて食堂へ向かう。
お昼時の時間帯のせいと会長ぬきの生徒会が既にいるせいで混んでいる。
「あ、おはようございます隊長。」
人混みを掻き分けて進むと沖名君と遭遇。
「おはよう。一人?」
「はい。隊長もお一人ですか?」
「うん。お昼一緒にしても大丈夫?」
「はいっ!」
空いているテーブルに座り、其々注文をし、運び込まれた食事を食べる。
「……隊長、昨日は大変でしたね。」
昨日……?はて、何の事やら。
「え、と……昨日、ここで転入生に…」
カチャン
嫌な記憶が蘇り、両手に持っていたナイフとフォークを皿の上に置く。
「あの後…隊長と副隊長が走り去っていた後、転入生が我々に罵倒してきました。"隊長が心を開いてくれないのは会長の親衛隊いるからだ"って……」
モッサリ何を勘違いしてんだ。
心が開かないのはてめぇの行動と言動にあるってこと気づけよな。親衛隊の子達の所為にすんじゃねぇ。
「それによって一部の親衛隊が転入生につっかかろうとしましたが、副会長に"手を出したら誰構わず消す"と言われていまい、悔しいままに終わりました。」
副会長こえーよ!!
消すってどゆうこと?
意味深過ぎてすっげぇ怖いです。
「その後、生徒会の皆さんが帰りましたが、会長だけは何故か残っていました。副会長のお言葉に静まり返った食堂で謝罪されました。」
あの俺様が?!
何それ、俺聞いてませんが!
「"転入生の酒藁 矢那が、親衛隊に色々と不快に思われる言動をしてすまない。親衛隊隊長は補佐一日目ながらも、素晴らしい働きをしていてくれている。だが、事を起こして隊長の努力の無駄になるだろう。だから、今は我慢してくれ。"と」
俺様が俺様らしからぬことを言っている…
「あの、お言葉を聞いて嬉しくなりました。お変わりになられたと思っていましたが、違ったんですね……。」
その言葉の後の沖名君は本当に嬉しそうにしていた。
だが、疑問に思うことが一つある。
「変わったって?」
「ああ、隊長は中等部に転入生してきましたもんね。前の会長はお優しくて思いやりがあって、面倒見のいいお方でした。困っている子を見つけたら、手助けしてくれたりして…けど、高校に入ると変わられました。」
沖名君の表情が一気に暗くなる。
「それは、副隊長が親衛隊に入ってからでした。」
ん?副隊長って真智…だよな?
えっ?!どゆこと?
「今の会長は副隊長の趣味によって変えられました。」
「……………はい?」
暗い表情から真剣な表情に変わったので、ゴクリと唾を飲んで聞いてみれば…
真智が趣味の為に会長を変えた?
どうやって?
「隊長はご存知ないかと思いますが、副隊長、それから仲が悪いと噂の風紀委員長は、会長の幼馴染なんですよ。」
ガタガタガタッ!!
衝撃の発言に椅子から立ち上がる。
ななななななんだってぇー!
風紀委員長だけでなく、あの腐男子も会長の幼馴染!!
と、言うことは会長は幼馴染の趣味の為に付き合わせられてるってこと?
いや、弱みを握っているって言っていたから、それの所為で逆らえないのか。
……なんか、会長が不憫に思えてきた。
「ってか、何で沖名君そんなに詳しいの?」
「…… 知りたいことはとことん調べる主義なので。あと、この事は副隊長に言わないでくださいね。」
「なんで?」
「あの人、自分の計画に他者が入り込んで崩すと、何しでかすかわからないですから。」
遠い目をして言う沖名君。
君は前に何かの被害にあったのかな?
御愁傷様です。
「あ、こんな時間だ。すいません、喋りすぎましたね。」
「いいよ、次の授業まで時間ないから早く食べてしまおう。」
「はい。」
残り僅かな時間、沖名君と楽しく昼食をとった。
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