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親衛隊隊長の苦難14






雑草取り抜き作業をある程度終えた後、忍者執事のお手製紅茶とクッキーを頂いた。

美味いのなんの!
これを毎日飲み食いしてたら、市販の物が食なくなるってくらい美味い。

まぁ、作業着で頂く姿じゃないな。


そして、今。
靴を履き替えようとベンチに向かうと、靴泥棒対策の罠にかかった意外な人物がいた。


「大雅ぁ〜外してくれ、マジで!」

「断る。お前はそこで何をしようとしたか説明してみろ。」

「はい、私旭 宗弥は五十里 大雅君のお靴を盗もうといたしました。」


そう発言するのは風紀委員長の旭 宗弥。
"風紀を乱す者は叩き潰す"と怖い印象の持主なのだが………


「一生そこにかかっていればいい。」


「大雅君の意地悪ぅ〜」


誰ですかこの人。
会長に劣らない人気なのに、凄く残念すぎる人だった。


「高梨、お前の靴だ。こんな奴に構わず行こう。」


ご丁寧に足元に俺の靴を置いてくれる。


「長靴はお預かりいたしますね。」


「え、ちょっと、本当に行っちゃうの?って、無視しないでー!!」



なんか可哀想。
ま、助けないけど。

そういえば風紀委員長、会長のこと名前呼びだった。周りは犬猿の仲と噂してたけれど、全然違う。いや、まぁ、噂だったってだけで、実際にそういう場面に出くわした人っていないから、真実か否か誰も知らなかった。


「会長って風紀委員長と仲が良いんですね。」


「どこが!?」


どこがって言われたら答えにくいなぁ。
ってか、顔怖いです。


「なんとなくそう感じましたので。」


「良くも悪くもないな。ただ、厄介な事に彼奴と幼馴染ってことだ。」


「会長にも幼馴染というものが存在するんですね。」


「どう言う意味だ?」


あ、余計なこと言ったかも。
どう言い訳しようかな〜でも、考えるのも面倒くさいし。思ったこと素直に言おう!


「昔から誰も寄せ付けなくない人かと。」


「失礼な奴だな。今の俺様は幼馴染によって生み出されたようなもんだ。昔は他の奴らと変わらなかったしな。」



幼馴染パネェ。一体どうしたらこうなったんですか?風紀委員長と会長は。

なんかこういうネタ、腐男子が喜びそう。
あとで教え……って、隠しカメラで見てるか。


「会長も大変だったんですね。」


「まぁな。そろそろ戻るぞ。生徒会の仕事をしろって聖が煩いからな。」



こないだみたいにキレられたら、たまったもんじゃないですしね。








「千裕、俺ねとなりに来いよっ!」

「えー、僕の隣がいいよねぇ〜☆」

「ちひ、ろ、俺の、と、なり、くる。」


生徒会室に戻ると苦痛の変態サンドを食らった。
会長はため息をついて自分のデスクへと戻って行く。いやいやいや、そこは助けろよ!て言いたいところだが、そこまでの仲ではないしな。


「千裕は俺の隣にくるよな!!」

何故、そう決めつけるんだお前は。

「違うよぉ〜、ちー君は僕がいいって♪」

誰も良いとは言ってないです。

「お、れの、と、なり、が、あ、んし、ん」

全くもって安心できませんけど!


「矢那以外煩いですよ。さぁ矢那、今日は私の隣に来てください。」


「俺、千裕の隣がいい!」


おめぇ!副会長怒らすとこぇぇぇから黙っていうことを聞きやがれってんだ。


「あれは会長の親衛隊ですから、会長の隣が良いに決まってます。そうですよね?」


「……そうですね。」

否定したらどうなるか分かってんのか?
って顔しながら言われたら、そうですねとしか言いようがない。


「良いでしょう?大雅。」


「はぁ、好きにしろ。」


「ですので、貴方はさっさと会長の所へ行ってください。なんて言うかこれ以上矢那の側に寄らないで下さい。」


ちょ、本音漏れてるよ副会長!!
貴方に言われなくても近寄るつもりもないです。
ってか、寄って来てんのはあっちだし。俺は無実なんですけど。


「ひっ君、ちー君の隣は僕なんだからぁ!」


「ちが、ち、ひろ、おれ、の、と、なり」



ああ、もう黙ってくれ!
俺は会長の隣って決まったんだ。
そっとしといてくれ。


「貴方達は仕事をサボり気味……いいえ、全くしていないので却下。そして、あれは会長の補佐役として此処にいます。大雅以外の隣にいては他の親衛隊が不快に思います。もし、そのような問題ごとが起きた場合、貴方には厳しい処罰を下しますから……ね。」


「「は、はいっ!」」

さすが、副会長!!
変態2人が一気に黙ったよ。


「はぁ……聖、今日は失礼する。後は任せた。」


「わかりました。ほら、貴方も共に去ってください。目障りですから。」


へいへい。お邪魔虫は退散しますよーと。


「千裕ー!ごはんはいっ…」


バタン


モッサリの言葉は強制シャトダウンした。



「預かっていた鞄だ。俺は暫く用があるから、その間は好きに過ごせ。また合流する時は彼奴が知らせるだろう。」


「彼奴って誰ですか?」


「親衛隊副隊長」


ああ!真智のことですか。
ってか、自由に過ごして良いって言いました?言いましたよね!


「じゃあな。後、夜はちゃんと勉強するからな。」


そう言い残して立ち去って行った。
さぁーてと、どうしたもんか。
折角授業免除の許可書があるので、これをいかに有効活用するか。
ま、とりあえず自室に戻ろう。
暫くは会長の部屋に過ごすことになるから、着替えとか用意して…あと勉強道具だよなぁ。
何持ってけば良いの?無難に数学と現国?古典とか世界史もいるかな?そう考えたら荷物多いよな。



会長から呼び出される前にさっさと準備しとこ。






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