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親衛隊隊長の苦難13



朝、起きると会長はネクタイを締めている途中だった。


「よく眠れたか。」

「は、はい。」

「起きてさっさと支度しろ。」

そう言って書斎へ入る会長。
俺は眠たい目をこすり、のそのそと着替える。
何だか制服が少し大きい気がする。


「おはようございます、高梨様。ご朝食のご用意が出来ましたのでご案内致します。」

うわっ!ビビビビックリしたぁ!
何だ、忍者執事さんか。朝から心臓に悪いな全く。


廊下を出てチョットぐらいにダイニングルーム的な部屋があり、そこで朝ごはんだって。リッチだよねぇ。


「あ、あの、会長は………」


「大雅様は少し前にお済みになりました。気を使わさらずにごゆっくりお食事ください。」

「は、はい。」


どうやら、会長を待たせてしまっていたらしい。
書斎へ行ったって事は生徒会の仕事とかかな?

喉に詰まらない程度のペースで朝食を急いで食べる。

そういえば、俺一回も授業出てないけど大丈夫かな?許可書とかいるんだっけ。確か会長から貰わないと………
も、貰えるのか?!


朝食を食べ終え、寝室へ向かう。
会長は鞄を二つ持っていて一つは俺に渡し、執事さんの「行ってらっしゃいませ」の挨拶を聞いて部屋を出る。


学校に着くなり、会長がよる所があるから先に生徒会室でゆっくりしていろと鍵を渡され、入れた紅茶を飲みながら会長を待つことに。









一時間後、朝キッチリ着ていた服が何故かヨレヨレになって戻ってきた。
戻るなり、自分の机でパソコンを起動させると急に電話音が鳴り響く。

ピルルルルルル、ピルルルルルル。
ピルルルルルル、ピルルルルルル。

会長は携帯画面を見てゲンナリし、電源ボタンを押している。


一体、会長の身に何が?!

「すまないが、お茶をくれないか?」


「はいっ」

何かいつもの会長と違うような……
違和感を覚えつつも昨日言っていたダージリンを入れ、会長の元へ運ぶ。

そこにはパソコンの前で手で顔を隠している会長。本当、昨日と今日の会長全然違うんだけど。何か気持ち悪いな。


「……会長、ダージリンティーです。」

「ああ、ありがとう。」

一口飲むと落ち着いたのかいつもの表情になった。

「そうだ、高梨。これを渡しておく。」
そう言ってカードを渡される。


こ、これは!!
授業免除の許可書じゃないかっ!


「一週間、俺様の手伝いをするとなると授業に出れなくなるからな。もし、教師共に捕まったらコレを見せれば良い。有効期限は一週間だ。」


「ありがとうございますっ!」


良かったぁ。これで教師共の言い訳できた。後は生徒会のみだな。

「但し、夜は勉強するからな。俺様の所為でテストの成績が悪くなったとかありえねぇ。」


「……はい。」


やだなぁ、夜会長と勉強するの。間違えたら絶対しばかれそう。

お茶を飲み終えふぅと息を吐いて立ち上がる。


「よし、今日は中庭の花の世話を手伝ってくれ。」

「分かりました。」

「荷物預かるから貸してくれ。ソファーの上に置きっぱなしにしてると、彼奴ら勝手に漁るからな。」

それは困る。あの変態共に私物を物色されるとか嫌すぎる。是非、匿ってください!


「貴重品だけは身につけておけ。」

「分かりました。では、お願いします。」


貴重品だけ持ち鞄を預けると、一番したの引き出しに俺と会長の鞄をいれて鍵をかける。そこまでしないと変態共から鞄を守れないのか。


「行くぞ。」
生徒会室に鍵をかけ中庭へ。そこには忍者執事さんが作業着に麦わら帽子、首にはタオル、手には軍手をして待っていた。


「では、作業着に着替えて長靴と軍手付けてください。」



何処にきがえれ……ば……
ちょ、会長。あんたなに堂々とここで着替えてるんだよっ!あっ、よく見たら制服の上から着てるだけだった。びっくりさせんなよな全く。

俺も会長の真似して制服の上から作業着を着て長靴を履く。ローファーは会長と共にベンチの下にでも置いておく。


「すいません、会長。なにしているんですか?」


置いた靴そばにカチャカチャと何か仕掛けている。


「盗難防止対策だ。こないだ庭作業後此処に戻ったら、靴がなくなってたんだよ。」


靴盗むとか半端ねぇ。
つか、制服の姿で長靴履いて歩く会長想像したらすごく可笑しい。


「何笑っている。行くぞ。」



「はい。」



目立つ所は花が綺麗に咲き乱れているが、奥へ進むと雑草が結構生えていた。それを見て忍者執事さんと会長が、二人にしか分からない会話をしている。


「世話できないのだったら、こんな広くする事なかったんじゃないか?」


「仕方が無いですよ。実際此処を指揮されているのは、旦那様では無いのですから。」


「ったく、お陰で色々大変だがな。」


「酒藁様は理事長の甥っ子様でしたね。」


「そうだ。中身がに過ぎてて苛立つ……」


ようやく俺の存在を思い出して会話をやめる会長。


「会長は酒藁君の事を好いてるんじゃなかったんですか?」


「……………」


やべぇって顔をする会長。聞いちゃいけなかったのか?


「いや、まぁ……聞かなかった事にしてくれ。」


何故?ま、会長にも事情ってもんがあるんだろう。聞かなかった事にしておこう。

その後は黙々と雑草を取り抜く作業をした。





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あきゅろす。
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