昼休み、中庭で昼寝するのが俺の日課で、 たまに庭師さんが丁寧に花の世話をしている。庭師さんっつても学校の理事長の執事さんなんだが、俺に気づくといつもお茶とお菓子を用意してくれる。俺は出されたお茶とお菓子を食べながら、執事さんの庭作業を見る、それが当たり前の日々。 ………だったのだが、ある日それが一変する。 いつも通り中庭のベンチで寝っ転がっていた。その姿を執事さんに発見され、お茶とお菓子を用意してくれたので、それを食べている時だった。 怖い顔したイケメンが中庭にやって来て、執事さんにお茶を要求。そして俺の隣に座り、愚痴を零す。 「何故、俺様があんな目に合わなければならない?」 いや、知りませんよ。 「俺様にキスされて何故、喜ばない?理解できない。」 知らんよ。つか、昼寝の邪魔なんだけど。 はぁと溜息をついてお茶を飲む。 執事さんがやって来て俺様イケメンにお茶を出し、それを優雅に飲み出す俺様イケメン。 落ち着いたのか、俺の存在に気づく。 「貴様は誰だ。何故、此処にいる。」 いやいや、アンタがくる前からいたんですけどーー どんだけ自分の中心なんだよっ!キスした相手もそれが嫌だったんじゃないの?と思いながら、俺様イケメンに聞かれたことを答える。 「俺は篠原 悠斗です。此処には昼寝しに毎日来てます。」 そうですよね?と執事さんに同意を求める。 「左様で御座います、昶兎様。篠原様は毎日此処で花たちと共に安らぎにいらしております。」 そうかと言ってお茶を飲む俺様イケメン。 お茶を飲んだら帰って欲しいな〜切実に! 俺の唯一の安らぎの場なんだから!! 「有村がそういうなら悪い奴ではなさそうだな。篠原、少し俺様の話を聞け。」 そういうと、先程の愚痴の続きなのだろうかペラペラと話し出した。有村と呼ばれていた執事さんは花の世話をしに行って、二人きりになっている。 嗚呼、早く解放されたい……… 「俺様はどんな奴にキスしても拒絶される事なんて無かった………っ!なのに、あいつは俺様を睨み頬を殴りやがった。」 つか、その前に何でキスしたんすか? キスした後の出来事を話されてもなぁ 「あんな事は初めてで驚きが隠せなかった。それと同時に何故かあいつに興味を持つ俺様がいた。」 よく分からないけど、恋しちゃったんすね。けど、その感情がよく分からなくて戸惑っていると。 「なぁ、篠原。これはどうしたら良いんだ?」 知らん。つか、初対面の俺によくそんな相談を持ちかけて来たな。俺はそれにびっくりだよ。黙っている俺を見て不安そうにしている。はぁとまた溜息をつく。 「まず、貴方はその相手とどのようになりたいのですか?」 質問を質問で返してみました。 「………………どうしたい?」 そう答えると俺様イケメンは固まってしまった。これはキスした相手と良からぬ妄想をしているのだろうか?ハッと気づいた時には顔を赤らめている。 うん、これは恋だね。これしかないよ。 「あの、多分貴方はその方に一目惚れしたのではないでしょうか?」 俺の言葉に顔を真っ赤にして怒鳴ってくる。 「バッ……………んなことあるわけないだろっ!」 そういうと、怒って何処かへ行ってしまった。思ったこと言っただけなのにさ、怒ることないじゃん。ま、でもこれで昼寝出来ると思ったが、チャイムが鳴る。ああ、俺の昼寝の時間が。 執事さんに「ご馳走様でした」と告げて教室へ戻った。 ≪backnext≫ |