親衛隊隊長の苦難01
____食堂
ここは食事をする所であって、騒ぐ場所ではないのだが。
な ん だ こ の じ ょ う き ょ う
目の前にいる男と男がディープキスしている。
これを目の当たりにしたことにより、食欲と言うものがかなりなくなった。
しかも、キスしあっている相手は生徒会長とやたらモサダサい転入生。周りのチワワ共もモサダサい転入生が、会長とキスをしている事が気に食わないらしく、罵声を浴びせている。
キスし終えた会長が、周りの言動にお気に召さなかったらしく、モサダサい転入生を左手で抱き、周りのチワワ共に怒鳴り散らす。
はぁ……ここにいる奴等、静かに食事できないのかよ。
そして最後にこちらを睨む会長が一言。
「こいつに何かしたらただじゃすまさねぇからな。親衛隊隊長の高梨 千裕。」
この出来事から俺の生活が一変する。
「おはようございます。高梨隊長」
生徒会長親衛隊の一人である、遊佐 亜貴君が俺を見つけるなり、挨拶をしてくれる実に良い子である。
「おはよう、遊佐君。今日の放課後集まるから、他の皆にも伝えておいて。」
「分かりました。それでは放課後、失礼します。」
ペコりとお辞儀をして一年の教室等へ向かって行くの見送ってから、俺も二年の教室等へ向かった。
いつも通りに授業を終え、親衛隊が集う離れの講堂へと向かう。普段は人気のないのだが、生徒会長の親衛隊となると100を優に超える為、集まりの時になると騒がしくなる。
「あ、高梨隊長お疲れ様です。」
パタパタと駆けつけてきたのは、親衛隊会議の進行係を務める沖名 晴海君。
親衛隊以外の時も仲良くしている後輩だ。
「皆集まった?」
「はい、今日は珍しく真智副隊長も来られてますよ。」
「あいつは王道キタ──ヽ('∀')ノ──!!とか言いにきただけに決まっている。」
「うへww俺のモノマネですか?それはww」
後ろからふざけた声を出すのは親衛隊副隊長、真智 修介。一応友人の部類にはいるんだと思う。
「ってか聞いてwwモッサリ君転入わずかで生徒会長フルコンボしちゃったよwwwマジぱねぇwwまさに王道キタ──ヽ('∀')ノ──!!」
オマケに腐男子と言われる、男同士の恋愛が見るのが好きで、校内でイチャつくホモップルを見つけると、どんな行為をしてようが覗く変態だ。
「あっそ。沖名君、始めようか。」
ウルサイ腐男子を置いてさっさと中へ入る。
「えww放置プレイッスか?wwいつもながらひでぇwww」
「皆さん、お疲れ様です。これから親衛隊会議を始めます。隊長、お願いします。」
「皆さん、お疲れ様で「ちょっw俺を置いていかんとってwww」………副隊長、お静かに。」
「すんません。」
腐男子が静まった所で、転入生についての話について切り出した瞬間、静かだった講堂が騒がしくなった。
「静粛に。転入生への怒りで一杯な気持ちは分かりますが、今、転入生に制裁をしては更に会長に疎外感を与えてしまいます。」
「しかし、隊長。今、注意しておかないと今後エスカレートすると思いますっ!」
「お仕事も転入生の所為でできないみたいですし。放ってはおけませんっ!」
各々の意見が飛び交う。
おーおー会長への解釈がすごいな。明らか転入生に熱烈アピールしてんのは会長の方で、転入生は……知らないや。まぁ、転入生もあんなアピール受けて満更でもなさそうだったし。会長が仕事ができないんじゃなくて、してない。転入生の事でいっぱいでやってないんだよ。
って、ツッコミたいのは山々だが、ここは皆を納得させる案を提案しなければならない。
考えるのが面倒なので、腐男子に何かないかと目で訴える。
「えwwここで俺投入しちゃう?ww」
「ここは副隊長らしくどーんと静めるべきだろ?」
「むwちゃwぶwりw乙ww」
「お前はやればできる子だ。例えふざけた腐男子でもな。」
「おかあさーんww酷スw」
「いいからやれ。」
「しょうへいへーいww
え〜お静かになって皆さんww隊長の言うとおり今、制裁を行えば会長から疎外感を買う事になっちゃうわけでwww昨日のチュー事件で会長が
"こいつに何かしたらただじゃすまさねぇからな。親衛隊隊長の高梨 千裕。"ってww隊長が怒られちゃったのww」
やべw会長のモノマネすごく似てたくねwwwとか、ふざけた事を挟んでくる腐男子に蹴りを喰らわす。
「…いっ!すんません。だから、制裁を降すということは、隊長が顔の原型がわからないぐらいにボコボコにされる事になるんだww」
「隊長が……」「お美しい隊長様のお顔が……」「転入生は許せないけれど、隊長がひどい目に合うのはヤダ。」などと意見が交じわう中、泣いてしまう子等もいた。
皆、良い子すぎて涙が出そう。
「ここで俺からの提案www会長の為にもなるし、隊長の身を守る事ができる事………それは、生徒会の仕事をお手伝いする事だと思いまww」
「はぁぁぁぁぁ?!」
なんであのクソ会長の仕事を手伝わなきゃいけねーんだ。冗談じゃねぇ。
「まぁまぁw会長がオッケw出してくれるか分からないけど、これだったたら転入生の監視もできるわ会長の役にも立てるわで一石二鳥wwそして俺得wwどうでしょうか?」
何が俺得wwだよっ!
「やる訳な…「意義なしっ」「会長様にもお近づきになれるし、監視もできるし。いいかも。」「副隊長様が言うんだから間違いないねっ」……仕方ありませんね。しかし、会長の許可がでるかどうか。」
つか、出さないでくれ。てゆーか出すな。
「大丈夫大丈夫ww」
「その保証はどっから出るんだよ。」
「ちょぉーーと、会長の弱みを握っちゃってるから☆キラッ」
なる程、腐男子Powerか。あらゆる萌えの為に設置した隠しカメラ盗聴器等から見つけたのか。
「隊長、副隊長の提案で大丈夫でしょうか?」
「そうだね。沖名君最後よろしく。」
「はい。転入生への対策は副隊長の提案でいくことに議論はないでしょうか?」
皆、しーんとしている。どうやら議論はないようだ。
「では、許可がとれましたらまた集まると言うことで宜しいでしょうか?」
「はーい。」
隊員全員元気良く返事をする。
「それでは会議を終了します。皆さん気をつけてお帰りください。」
沖名君の言葉が終わると同時に講堂から出て行く男子生徒で賑わう。
俺とすれ違う子達が皆、応援のエールを送ってくれる。
「隊長wガンバってwww」
「てめぇは強制的に会長説得しに行くんだよ!」
「やっぱしwww?」
「当たり前だ。」
ったく、お前が考えたんだから誰が会長を説得するってんだ。
「隊長、頑張ってくださいね。さようなら。」
沖名君はニコッと微笑んで帰って行った。
「隊長×隊員かぁ……いや、隊員×隊長か? d(゚∀゚)bイイネ!!」
「お前は黙ってクソ会長を説得する構想でも練ってろ!」
「へーいww」
腐男子と腐の無い会話を要求しながら帰宅した。
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