要らないモノ。
初めて前戦に行く日。
いきなりオレの部屋を訪れた、あまり喜ばしくない珍客にあからさまに嫌な顔をしてやった。
「ンだよ…。もう出なきゃなンねーんだけど?」
「うん。わかってる。」
……別に、行くなとか泣いて止めてほしいわけじゃ、ねぇ。
ンなもん気持ち悪ぃだけだ。
ただ、いつもと変わらない態度が癇にさわる。
普段と変わらない表情でオレの前に現れたのが。
「っだから何の用なんだよ?!!」
「…怪我しないようにな。」
「?!!……はぁ?!!」
「大好きな弟に怪我なんかしてほしくないからね。」
アンタの言う「好き」ってのは一体どんなもんなんだよ。
そうぶつけてやると少し困ったツラで、口元を歪めて"綺麗に笑う"。
オレの2番目の兄貴。
「オレも好きだぜ。」
相槌がわりにおざなりに言い放ち、まとめた荷物を手にする。
「僕もハーレムを愛してるよ。」
同じ表情でやまびこみたいに繰り返される言葉を背に、オレは部屋を後にした。
………要らねぇよ。 そんな綺麗なだけの笑顔なんか。
オレが見てぇのは、余裕ねぇくらいにオレだけに向けられる真摯な眼。
‥‥何かが変わったら、アンタもそんな眼、オレに向けてくれンのかな‥‥?
いつか。
今はまだ、アンタにとって『要らないモノ』のオレにだけ。
END.
この獅子舞さま……ちょっと……(=ω=;)
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