「……なんでっスかぁ…あwじゃあオレが買ってきましょっか♪隊長、ちゃんと受け取ってくださいねw」
「………。」

今日が本番とはいえ、身内や恋人や友達に贈る、あるいは学校や職場で配るために、と買いに行くお嬢ちゃんやお姉さま方が全くいない、とは思えない。
そんな中にフッツーに入っていきそうな部下兼恋人をしばし見つめ、大仰にため息をついた。

「‥‥要らねー。」
「?!!ひでーっスよーっオレの愛を込めてすっげーの贈ろーと思ったのに〜。」
「ンなもん本気で買ってきやがったら、絶対ぇ部屋にいれねーからな。」
丸めた新聞を広げ直し、読みかけの記事に再び目を落とす。
話は終わりだと言わんばかりのそんなハーレムの態度に、恨めしげに見つめていたロッドだったが、そっと立ち上がりそのまま出ていってしまった。

「‥‥‥。」
‥放っときゃ帰ってくるだろ。
呟きを心に納めて、さして面白くもない新聞を放り投げた。

――かまわねぇと必死にじゃれついてくるから、面白ぇンだよな、あいつ。
本当は、新聞や雑誌の記事なんて大して興味ねぇ。
モノにまで妬いて、普段より饒舌になるあのバカの反応や表情の方がよっぽど面白くて。
だからつい、手にしちまう。

でも、たまにゃまともに話くれー聞いてやっかなぁ…。
今日、またひとつ『大人』になったわけだし?




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