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「何か見えたかい?」

上空でふわふわと漂う笹後に聞こえるよう名取は声を張り上げてそう問い掛ける。

「珍妙な物体2匹と…妖がおります」

「珍妙な物体?」

もしや、と夏目の頭に猫と犬頭の姿が浮かび上がる。その珍妙な2匹の物体とやらに凄く心当たりがあったりするのだが…
内心苦笑を漏らす夏目だったが、次に名取の発した言葉にハッと我に返る。

「その中に女の子は見えるか?」

「…いえ、それらしい姿は…ああっ!」

「どうした!?」

突然声を上げた彼女の口から出た次の言葉に、夏目と名取は絶句した……

「く、喰われております。口から足が…」

「な…」

目を剥く名取の隣で、そんな…と悲痛な声を上げた夏目だったが次の瞬間、笹後の向いている視線の先へと駆け出した。

「…っ。夏目!」

最悪の事態を耳にして一瞬判断の鈍った名取だったがすぐに頭を切り替えると急いで夏目の後を追った。柊もそれに続く。

(まだっ…まだ間に合うかもしれないっ)

「待ちなさいっ…待つんだ夏目っ!」

一瞬遅れたと言ってもすぐ後を追い掛けたはずなのに、先を行く夏目の背中はどんどん遠くへと離れていく。荒く息をしながら懸命に追い付こうとするも夏目の足は異様なまでに早く、その差は開くばかりだ。

(全く、なんて足の速さだっ)

とにかく急がなければとそれだけを考えて走る夏目の耳には、同じく後ろを走る名取の制止の声は届いていなかった。

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あきゅろす。
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