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ビフ赤短編集
裏事情(デート…?の続き)※※
これは、御侍とデートしていた赤ワインがビーフステーキに連れていかれた後のお話__。

「おい!!」
肩に担がれているせいか頭に血が上って苦しい。それを伝えようと声をかけるが何の反応も示さない。
何かしただろうか、いや覚えがない。

俺様たちは世間でいうところの恋人という関係である。手を繋いで想いを伝えることも、キスで互いの体液を交換することも、深くまであいつを招いたことも、一般的な恋人がすることは一通りやった。

何やら怒っていることは伝わってくるが、身に覚えがないことで怒られるのは心外で、話し合いたいのにあいつが俺様を運んだのはラブホの一室に備え付けられたベッドの上だった。ぎし、とベッドが悲鳴をあげる。そこに荷物を投げられるように、体を投げ捨てられた。
「貴様…ッ、言葉も話せなくなったのか!はっ、所詮家畜と変わらないってことか…。」
「黙れ。」
「むぐぅっ?!」
口に突っ込まれたのはビーフステーキの指だった。舐めろということか。誰が、そんなことを…。ガリっと噛んでやった。滲む血をちう、と吸う。途端に細胞がざわざわと騒ぎ出す。これだ、これが、と全身が悦ぶ。
「ん、ふぅ…ちゅ、…じゅる、」
舐めてたまるものか、そう決意したはずなのに脆く崩れ去った。血が欲しい、その一心で指の又まで咥え込み喉を使ってきゅうきゅうと搾り取ろうと吸い続ける。
「もう、いい。」
きゅぽん、と指が抜かれる。
「ぁっ…、なんで、っ…、」
物足りない。そう思っていたら今度はあいつの舌が割って入ってきた。質量をもったものが縦横無尽に動く感触は未だに慣れない。上顎を擦られると堪らなくて、腰が揺れる。奥が疼いて仕方ない。いつもなら慣らすのも程々に突っ込むくせに、今日に限ってはまだ前戯すらもない。
「キスじゃ足りないか?」
「はっ、…誰が…!!」
ビーフステーキの視線が俺様の体を舐めつけるようで、ゾクゾクとした。危うくイきかけた。それを悟られるまいとして気丈な態度を貫く。
「そうか。」
たった一言。あっさりとあいつの手が離れていく。少し乱れた服をかっちりと元通りにされ、何事もなかったような顔をして部屋を出ようとする。
は?ここまで来て、何もせずに出ると言うのか?
「おい…!これで終わりにするつもりか!」
「……そのつもりだが?」
あっけらかんと言い放つその姿に腹が立った。俺様をその気にさせといて逃げるのか。
「ふっ、貴様がそのつもりならそれでいい。俺様は此処で別の誰かを待つとしようか。」
ピクリと耳が動いた。
「正直、あんな焦れったい動きで気持ちよくなれるはずがないだろう。それとも、貴様は自分のものに自信がなくなったか?哀れで目も当てられんな。」
足が完全に止まった。あと、もう一押し。
「貴様よりも手馴れた男は探せば五万といるだろう。俺様を満足させらるのも、な?」
ぐるん、と此方を向いた奴の顔は無だった。初めて見る顔に顔が引き攣る。
あ、死んだ。
「嘘だ、今のは全て嘘なんだ、おい、聞いてるのか…?」
ゆっくり、ゆっくりと、此方に躙り寄る姿が恐怖でしかなく、ベッドから落ちたのも気にせず後ろにじりじりと下がっていく。
やがて壁にぶち当たった。手を壁に縫い止められ、光のない瞳とかち合う。顔を逸らそうとすれば唇を奪われた。酸素を奪うような激しいキスに頭は酸欠で朦朧とし、官能を引きずり出すような動きに鼓動は早くなり、また奥が疼き出した。
「この体を触らせたのか…。」
地を這うような低い声に、ひ、と喉から声が漏れた。
「…っんなわけないだろ!気持ち悪くて吐き気がする…。」
他の男の手が素肌を這いずり回るのを想像して吐き気が込み上げた。潔癖なのを知っておきながらその質問は愚問ではないか。
「じゃあ、どうしてあんな事を言ったんだ。」
頬を片手で掴まれ、瞳を覗き込まれる。深淵を覗き込まれ、覗き込んでいるような錯覚に陥り首を振ろうと藻掻いた。
「赤ワイン。」
それでも、奴は逃げることを許してはくれない。
「それは…ッ、貴様が、っ…、」
「私が?」
「……ッ、あ、貴様が…、っ!」
自分でも分かる。顔が熱い。分かっているだろうに、言わせたがるのか、それとも辱めたいのか。はくはくと口を動かして、伝わってくれと切に願う。しかし、現実は非情だ。
「赤ワイン、言ってみろ。」
「~~~ッ?!?!」
耳を柔く食まれ、吐息が混じった囁き声で名前を呼ばれた。甘い声にぐらりと来た。
「貴様が…、その、何もしないから……。」
「何も?」
「ぐっ…、まどろっこしい!!さっさっと突っ込めと言っているんだ!!」
焦らされたせいで火照る体を鎮める方法なんて一つしかない。それを分かりながら、この男は。いつもの様に喧嘩腰で誘う。色気なんかありゃしない。
スイッチが入った音を聞いた。俺様の体を抱き抱えベッドに優しく降ろした。やっとか、と思った矢先、あいつの動きが止まる。
「赤ワイン、これは仕置きだ。」
「は?」

ヴヴ、とモーターが暴れ回る音と、ぐちゅりぐちゅりと腸液とローションを掻き回す水音、それと俺様の甘ったるい嬌声だけが部屋に響いていた。
仕置きとあいつは言った。俺様はそんなことをされる覚えはないし、ビーフステーキがこういうことを言う時は大抵ろくな目に遭わないことは身をもって知っているため、必死の抵抗を試みた。そのせいで今の状況が出来上がったと言わざるを得ないのが腑に落ちない。
「はっ…ぅあ"ッ!もっ、イかせ、ろ!!」
流石ラブホというべきか、両腕を麻縄で縛られ、散々焦らされて勃起したモノにコックリングを嵌められ、亀頭にローター、後ろにも赤ん坊の腕程ありそうな極太ディルドを突っ込まれた。厭らしいことに、ディルドには突起が付いており、暴れ回る度に腸壁を抉っていく。惜しいことに前立腺に触れそうで触れないのが、頭が沸騰しそうなほど気が触れそうで、当たらないかと腰を動かしてもそれは全て無意味に終わった。亀頭を責め立てるローターのせいで、射精出来ないまま昂らせていくのが更に俺様を追い詰めていく。
もう、限界だ。プライドを投げ捨て、あいつに強請った。出したい、イきたい。頭が可笑しくなる。
「イけるだろ、貴様なら。」
「ひぐっ?!?!あ"ッ、やめッ、ぁ"あ"アアアッ!!」
ぐっとディルドを奥に突き立てられた。その際、前立腺を突起がゴリゴリと抉り視界が明滅する。出口は塞ぎ止められているせいで行き場を失った精子が暴れ回る。腸壁が収縮を繰り返しその度に突起の形をはっきり感じてしまい、ナカでイっているところに刺激を加えられイき狂う。ビクンビクンと陸に打ち上げられた魚のように体が跳ね、快感を逃がしたくても与えられ続ける。地獄か、ここは。
「あ"ッ、やああ"…ッ!ま、たイぐッ!」
イく感覚は段々短く、イってる時間は段々長くなる。無機質な音と淫靡な音がハーモニーを奏で、何回イかされたかはもう分からない。
「痛そうだな。」
「い"ッ、さ、わるなあ"ッ!あッ、あッ、くる…っ、、あ"あ"あ"ッ!!」
色がどす黒くなりつつある怒張を触られ大袈裟に体が跳ねた。そのせいでディルドの位置が変わり常に前立腺を抉られ、強すぎる感覚に意識が飛びそうで、だが断続的に与えられる快感がそれを許さない。
「イぎたぐない"…ッ!!も、ッ、あ"ッ"、またッ"、、!」
俺様が何をしたっていうんだ。目の前の男が目を細めるのが滲んだ視界でも見えた。
「そんな玩具で満足するのか?」
目の前にずい、と差し出されたのは血管が脈打つあいつの魔羅だった。それを躊躇うことなく咥える。雄臭い匂いが口内に充満する。一旦口から離し、舌を這わせる。しょっぱい味と先走りが混じっているのか苦味も感じて顔を顰めるが、体は心とは裏腹に悦んで舐めしゃぶる。裏筋を丁寧に舐め、先走りが滲む鈴口にキスを落としジュルと吸う。喉の奥に誘い込むように咥え込むが大きすぎるのか全て入り切らない。はみ出た部分は手で扱き、咥え込める分は顔を前後に動かし喉を締める。全てこの男に仕込まれたのだが、そう思うと悔しいので邪念を払い一心に奉仕する。
「く、っ…!」
段々と膨張し、顎が疲れてきた頃、やっとイくのかと思いスパートをかけようとすれば後頭部をガッシリと固定され腰を打ち付けられる。
「んぐぅッ?!ぅ"、ぐ…、」
俺様のことを全く考えない動きで、喉奥にビーフステーキの亀頭がずぽずぽと抜き差しされる。歯を立てないように気をつけるが、気道を塞がれているせいか朦朧とし、それでも後ろからの強烈な快感で意識を引き戻される。どぷ、と喉奥に熱くて粘着質な液体が放出された。ごきゅん、と音を立てながら何とか飲み込むとずるりと奴の逸物が抜かれた。
「ゲホッ、ゴホッ、」
酸素が体の中にいきなり侵入し噎せる。ぐい、と口に指を突っ込まれ開かされる。その中に精液がないことを確認するとビーフステーキは後ろに突っ込まれたディルドを何の躊躇いもなく引き抜いた。
「あ"ッ、~~~~ッッ!!!」
はくはくと口を開閉する。
ゴリゴリと腸壁を抉りながらディルドが出ていき、くぱぁと開きっぱなしの窄まりからは濃いピンクに色付いた中が見える。ビーフステーキはそれを直視し喉を鳴らした。
赤ワインはというと、ドライを繰り返し体力はゼロに近かった。ローターも外され、終わりかと思った矢先ビーフステーキの怒張が後ろの窄まりをこじ開けた。
「~~~~ッ?!?!」
再びドライでイかされ、ぷしゅ、と溢れた精液が先っぽから顔を出す。先走をだらだらと垂らすだらしのないそれを見たビーフステーキは、何を考えているか分からない顔でコックリングを外した。
「は、ぁ…、もぅ、やめ…て……。」
赤ワインはビーフステーキに手を伸ばした。限界に近い状態で、これ以上は無理だと涙を流した。
だが、それが男の劣情を煽ることなど何一つ分かっていない。
ビーフステーキはその手を取ると、ぐい、と自身の方へと引っ張った。そのせいで結合は深くなり赤ワインは呻く。
「赤ワイン、もう少し頑張れるな?」
悪魔のような囁きに体が震える。それは、恐怖ではない、期待だ。
結合した状態でビーフステーキは下に、赤ワインを膝に乗せた。所謂対面座位の状態で下から楔を打ち付ける。そのうえ、今まで触っていなかった陰茎を一緒に扱く。赤ワインの悲鳴に近い嬌声が大きくなる。その時、赤ワインに異変が訪れた。
「び、ふ…すてーきッ!まて…、ッ、やだ…、なんかくる…ッ、まて、といっている…!ぁ、あ"あ"ああああッ!!」
赤ワインが感じたものは尿意に近かった。しかし、尿道をこじ開けて出たものは無色の液体で、訳が分からなくなった。
「ははっ、潮を吹くなんてな。」
「しお…?」
潮を吹いた。それを理解した途端全身が色づく。出来るだけ縮こまろうと平常時ならばピンと立っている背が、今や緩くカーブを描いていた。
「赤ワイン。」
「……なんだ。」
顔を伏せているから分からないが、鼻声混じりの声から察するにグズっているのか。冷静に観察するビーフステーキだったが、生憎まだ一回しかイっていないため赤ワインの体を押し倒す。
「は?おい、俺様はもうイけない…!!」
「まだ一度も出してないように見えたが?それに、ここはきゅうきゅう締め付けてくるぞ、ッ!」
「んああっ!!」
ぐ、と奥に突き上げれば簡単に甘ったるい声をあげる。ぐずぐずに溶けている赤ワインは艶めかしく腰を揺らし、奥に欲しいと締め付けてくる。身体は正直だ。腰を掴み最奥の入口をコツコツと叩く。
「そこ、ッ、やらぁッ…、んッ、やめっ、、おねがッ…!!」
プライドを折ってまで頼み込む姿は、残念ながら火に油を注ぐだけだということを知らない。
「赤ワイン…っ。」
「びーふ、すてーき…、おねがい…。」
瞳を潤ませて願うのは解放か、更なる快楽へか。
「それは逆効果だ…っ!」
腰を押し込み、結腸の入口を開く。
大きすぎる快感に赤ワインは言葉を失った。ビーフステーキが楔を打ち付ける度に母音だけがもれ、意味の無い言葉が宙に消える。
「あっ、、もっとぉ…ッ、」
スイッチの入った赤ワインはビーフステーキの腰に足を絡め、奥を突いてと強請る。完全に堕ちた。娼婦のように淫らに乱れる。麻縄を外されると、ビーフステーキの逞しい首に腕を回しキスに興じる。
夜は始まったばかり。恋人たちは互いを高め合い、貪った。



「……さいあくだ。」
ガラガラに枯れた声で赤ワインは嘆いた。一夜の戯れを明確に覚えている。ビーフステーキに強請り、奥を暴かれたこと全てを。
「そもそも、仕置きとはなんだ。おい、ビーフステーキ、説明しろ。」
「……そもそも、貴様は私の恋人だろう。御侍とはいえ、そうほいほい誘うとはどういう了見だ。」
「は……?」
ビーフステーキの言い分は、俺様が恋人である貴様を置いて二人きりで恋人以外と出かけるのは浮気ではないか、とそのようなことだと理解した。
「はははっ!!」
「何がおかしい。」
ムッとしたような顔をするやつが愛おしい。だが、それを言ってやる義理もない。
「馬鹿だと思ってな。」
俺様も、な。
「腰が痛い。責任は取れよ。」
「は?馬鹿にされた挙句、どうして私が貴様の面倒を見なくてはいけない。」
「ほう?ここまで痛めつけたのは貴様だぞ。それとも逃げるのか?」
「誰がだ!!!」
相変わらず頭に血が昇りやすいのか、気づいたら喧嘩腰で言い争っている。それがらしいとも言えるが、…だが、夜に見せた姿は嫌いではない。ぐずり、と奥が疼く。たまには、悪くないかもな。不意打ちのように未だに怒鳴るあいつの唇を奪った。

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