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「あ……」

完全に拒否されて、知らない名前で呼ばれる彼を遠くから見ていることしか出来なかった。

ツキンと胸が痛む。

誰なのかはすぐに分かった。
海斗。
有名な人気モデル。
2人は異母兄弟だという。

本当に?
本当にただの兄弟?

綾の肩を抱き寄せた仕草が、嫌な気分にさせる。
綾は施設育ちだった。
生まれたばかりのまだへその緒がついた状態で駅のトイレに捨てられていたらしい。
だから彼に肉親はいなかった。
少なくとも拓実が知る、水上綾は天涯孤独だった。

自分が知らないうちに親に会えたのだろうか。

真実は何一つ、分からない。

仲睦まじく去っていく背中を見ているのが辛い。

もうダメなのだろうか。
君の隣りにはいられないのだろうか。

大して興味もなかったモデルの彼が羨ましい。
笑顔を向けて貰える彼にモヤモヤが募る。

これは嫉妬。

確かに綺麗な容姿をしている。人気モデルだけあると思う。
自分も顔立ちだけなら負けていないとも思う。
やはり芸能人と一般人とでは纏うオーラが違う。

悔しかった。

どうしても追い掛けてしまう視線を無理やり逸らして、拓実は校内へと引き返した。



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