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A
初めて友達を家に呼んだからずいぶん驚いていたようだ。
慌てて自室に行こうとした弟を止めたのは友人だった。

初めはオドオドしていた弟も人懐っこく子供の好きそうなアニメなんかをよく知っていた奴にすぐ懐いたようだった。

それから何度も奴はやってきて三人で遊んだ。
テレビゲームやボードゲーム、時には弟の宿題。

とても穏やかな日々だった。

それが変化したのは俺たちが三年に進級してから。
弟は中一になった。
それでもしばらくは以前と変わらず時間は過ぎた。

だが新学期が二週間ほど過ぎた頃、二人が付き合うのだと聞かされた。

弟がゲイだとはさすがに知らず、腰が抜けるほど驚いたが幸せそうに微笑まれると反対は出来なかった。
自分には見せたことのない笑顔だった。
好きになったのがたまたま男。
聞けば告白したのは弟だという。
あの大人しい弟がどれほどの勇気を振り絞ったか考えると、複雑な心境だったが祝福してやりたかった。
少しの寂しさを感じながら。

その夜食べたすき焼きは今までで一番美味しかったし、楽しかったと思う。



だが、二人が付き合いだして初めて自分の気持ちに気付いてしまった。

愕然とした。

俺も奴が好きだった……。


だが遅すぎる。

すべてが。

この気持ちは気付かれてはいけない。
まさかこんな気持ちが隠れていようとは思いもよらなかった。
隠そうとすればするほど、忘れようとすればするほど俺の中で奴の存在が大きくなる。
小学生のうちから始まった子育てに忙しく夢中で初恋すら知らなかった俺の恋は誰にも相談できず小さく萎むのを待つしか術を知らなかった。

息苦しいまでの胸の痛み。
髪をかきむしりたくなるほどの嫉妬。
気を抜くと可愛くて可愛くてしょうがなかった弟を憎んでさえいた。
無邪気に奴とのことを話す弟を殴り殺したくもなった。

自分がこんなに醜い人間だったなんて知りたくはなかった。

でもそれが真実。

表面では笑顔を作りながら、心の中はいつもささくれ立っていた。

そんな生活が続き、夏が終わる頃。


俺は見てしまった。

奴が見知らぬ女性とホテルから出てくるところを。



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あきゅろす。
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