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会いたい。




霊安室ではない限り、春生は生きているということだ。

一刻も早く、会いたかった。

5階のナースステションで記帳してから、隔離病棟のドアをくぐる。
いくつもある病室の扉には外側からみな鍵がかけられていた。
その様子はさすがに気になる。
不安になる。
一体春生はどんな状態なのか………。

廊下の中ごろ、病室の前に一人の制服警官。
部屋番号の並びから、そこは教えられた部屋だ。
しかし扉の前のネームプレートには何も書かれてはいなかった。
喉の渇きを何度も唾を飲み込んでやり過ごして、その制服警官に声をかけた。
ここもやはり話は通っているらしい。
「あぁ」と怪しまれることなく扉を開けてくれた。

もう一度ゴクリと唾を飲み込んで、病室に入った。








「お客さん?」
「違うよ、ハル。」

聞き覚えのあるようなないような声が耳に届く。
白い壁、天井、イメージ通りの白いパイプベッド。
窓は少し開いているのかかかっているカーテンがわずかに揺れている。


思いのほか冷静に周囲が見えていた。
いや、冷静ではなかったから目の前にいる大切な人以外がよく見えたのかもしれない。


その人は、いた。


ベッドの上に。
病院特有のくすんだ空色の検査着のような物を着て。
自分が知っている頃より、当然背も伸びて、声もやや低かった。

でも分かる。

姿はずいぶん違うけれど、面影はあった。



しかし………。

「その髪………」
染めたのか、抜いたのか………。
自分の知る艶やかだった黒髪ではなく、パサついたようなフワフワの、白髪だった。

あの頃の春生の性格からはとても、らしくないと思った。

「染めたわけだはないそうだよ。」





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あきゅろす。
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