ある淋しがりやのお話
見て御覧、
ある白いウサギが言った。
あれがヒトさ。
へぇ、あれがヒト、
白いウサギの横で、黒いウサギが答えた。
ぼくらのこと、淋しいと死ぬって思ってるらしい。
なんだい、それ。馬鹿馬鹿しい。
そうだろう、ぼくら淋しいなんて思いもしない。ましてやずっと誰かと一緒にいたら、それこそストレスで死んでしまう。
ほんと、笑っちゃうね。
ほら、御覧よ。
ああ、あのヒト、泣きはじめたね。
どうしてだと思う?
どうしてさ?
淋しいから、だ、よ。
淋しいから?本当かい?
ああ、そうさ。
それじゃ奴ら、自分の事は棚に上げて、僕らが淋しいと死ぬなんて言っているのかい?
ああ、そうさ。
憤慨だな!
本当に、
淋しいと死んでしまうのは、奴らヒトじゃないか!
そう、ヒトは悲しい生きものさ、淋しいと死んでしまう生きものなんて、この世にただひとつだけだからね。
…おや?きみ、どうしたんだい。
だけどそれこそが、素晴らしいんだ。
きみ、泣いているのかい、まるでヒトみたいに。
ぼくは彼らが、羨ましいのさ。淋しいと死んでしまう、彼ら“人”がね、
ふわり
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