ティアドロップ
今日は空が赤い。
今年豊作だったルビィを食べたせいだ。
昨日檸檬の砂糖漬けを食べた時は、目の膜に砂糖が付いて大変だった。
僕の目は少し特殊で、食べたものが反映され変化するらしい。
こういう体質の人は稀にいて、その人達は皆、同じ商売をしている。
ハッカと水飴を食べる。
そうしてから映画『感動の名作シリーズ』を観る。しかして泣く。
そうすると、涙の粒がハッカ飴になる。
僕にしか作れない、極上の味だ。
ガァネットや薔薇、塩バターやミルク珈琲の粒も作っておき、これを瓶詰にして売る。
しかし、この仕事は綺麗な目を持っていないと出来ない。
視力が低かったり、水晶体に傷があったりなんかすると、飴の味は格段に落ちる。
果たして僕は、この仕事をいつまで続けられるだろう。きっと、長く続けるのは無理だ。僕の体は、日に日におかしくなっている。一日に何回も吐血するようになった。反面、目は更によくなり、飴の味も上がってきている。
きっといつか、涙の粒に、僕の血が混じるだろう。その飴の味は、夢のように素晴らしいに違いない。
ああ、そんな飴が出来たら、僕は死んだっていいさ。真っ赤な純血の飴粒を流しながら、めいっぱいの笑顔で死んでやるよ。
ふわり
［*前へ］［次へ#］
無料HPエムペ！
携帯モード]
[
URL送信]
