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薔薇窓
ふわり

あの薔薇窓の破片を、僕はずっと昔から拾い集めている。
グリフィンと星の模様でいっぱいだった、あの薔薇窓。
悪戯好きのグリフィンが、爪で引っ掻いて割ってしまった。
硝子は細かく散り、何万、何億もの破片が御影石の床に落ちた。
僕が薔薇窓の破片を拾い集めて、今日でちょうど百年になる。
藍色アゲハの鱗粉で接着された破片達は、殆ど元通りの姿だ。
だけど、あと一つ。
あと一つの破片が、どうしても手に入らない。
彼の在処は、解っている。僕の、体の中だ。破片が飛び散ったときに刺さって、そのまま体内に馴染んでしまったらしい。
僕が死んで土に帰ったとき、初めて彼は顔を出すだろう。そうしたら、グリフィン、今度は壊すんじゃなく、薔薇窓を守ってくれよ。ぼくの代わりに、ね。







ふわり

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