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■敵対関係(遊星?)


※劇場版の序盤改変。微妙だけどネタバレ含みますので注意!
夢主はパラドックスの仲間で遊星たちの敵設定。









この世界は美しい。だがとても、とても醜い。絶望的な未来を辿った世界は瓦礫の山、そんな世界だった。歪んだ世界。それを変えると主は言った。
非現実的、そんなことを主は可能にしていた。俺はその後ろから崩壊していく様々な時代を見た。ボロボロと零れるように落ちるビルの破片、ガラガラと音を立て倒壊していく建物も。
世界が変わる。主の望みは俺の望み。この世界が崩壊すれば新たな世界を創造への一歩を踏み出せる。それはとても喜ばしいことなのに。音を立てて崩れていく街を見る気分は少し、虚しかった。

一つの時代の「実験」が終われば主と俺はまた新たな時代へと時空を跨ぐ。そのさいに俺は一つ、主であるパラドックス様に命じられた。


「白き竜、スターダスト・ドラゴンを我が手に」


俺は命令に従うだけだ。方法は問わない、スターダスト・ドラゴンが主の掌へのおさまるのなら。白紙のカードを見つめる。ここにスターダスト・ドラゴンを。それが俺の使命。
スターダスト・ドラゴンの持ち主は不動遊星というサテライトに住む男だと聞いた。Dホイールを走らせる。デュエリストの気配のする方へ。
Dホイールなんて馴染みはほとんどなかったが、主の下で自然と慣れ、今では乗りこなせるほどになった。
今ごろ主はこの街で「実験」をする準備をすすめているはずだ。Dホイールから横目に見える背の高いビルを見やる。あのビルもきっと、今に無残に倒壊するのだ。

暫く走ると並んだDホイールが三台見えた。黒、白、赤。赤いDホイールへ視線を向けると他の2人とは違う、何かを感じた。あれが不動遊星。スターダスト・ドラゴンの持ち主か。
俺は不動遊星目指してDホイールのスピードを上げた。黒を追い抜き、白も追い抜いた。赤いDホイールの前に並ぶ。不動遊星と目が合った。

「お前、は」

「…俺はなまえ。主の邪魔はさせない」

「主…だと」

「そうだ、我が主。主は世界を創造する」

「ッ!お前、もしかして…この街が破壊されているのは…!」

「そう。主が歪んだ世界を壊している」

「やめろ!何故…!」

「…お喋りはここまでだ、不動遊星」

デュエルだ、短く言い放つと不動遊星は唇を噛み締め挑戦的な眼差しを向けてきた。気に入らない。何故、何故歪んだ世界へ執着するのか。
スピードワールドを起動する。特有の起動音が響き、俺と不動遊星のライディングデュエルがはじまった。



「--シンクロ召喚!飛翔せよ、スターダスト・ドラゴン!」

一筋の光が貫くように現れる。そして煌びやかに輝く白い竜が、大きく咆哮を一つ、その羽根を広げた。星屑を散りばめたような、輝くその姿を現したが最後、もう奴は掌の上だ。
授かった白紙のカードを空へかざす。無数のカードがスターダスト・ドラゴンを取り囲み、やがてその姿は光となって消えた。白紙だったカードにはたった今、掌中へ収めた姿が刻まれた。

「スターダスト・ドラゴンが…吸い込まれたというのか!?」

驚きの声。無理もないだろう。自分のカードからモンスターが消え、他の手に渡るなんて。
だけど、今コイツを返すわけにはいかないのだ。大いなる「実験」のために。主、パラドックス様のためにも。
もうデュエルを続行する意味もなくなった。俺はアクセルを踏み込んで後ろのDホイールを引き離す。後ろから上がる声を無視して俺は再び時空を跨ぐ。主の「実験」を遂行するために。
着々とモンスターは我が主の手にそろいつつある。そして世界は美しく変貌を遂げるのだ、きっと。
俺は先ほどまで白紙だったカードを見た。くっきりと浮かぶ、先ほどはなかったドラゴンの姿。
どうしてだろう、主の使命を守ったというのに、どこか浮かない気分だった。そう、それは倒壊していく街を見つめていたときのような虚しさ。
きっと一時的なものだろう。俺は目を伏せ一つ深呼吸をしてから主との合流地点へと向った。




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一応お相手は遊星なんですけどパラドックス夢にも見えなくもないような出来になってしまいました。
劇場版が面白かったのでもそもそ。

【後記追記…1/29】
映画二回目見てきて改めて読み直したら展開間違ってますね…
映画の展開、2人が遊星をデュエルに誘う→パラドックス登場→スタダ奪われる→歴史が歪んで街倒壊だった…
二次創作ってことで許してやってください…あばば



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