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■友情発恋愛行きの切符をください!(アキ)


どうやって言葉にしようか少し迷った。
彼女、アキちゃんは頭がいいからどんな言葉で言っても理解してくれるとは思うけれど。

(言えない、よ)

す、き、で、す。
声にならない声。口だけ動かしたら空気だけが漏れて少しだけ切ない気分。
伝えたいけど、携帯を手にとってすぐ電波にのせられるほど私には軽い言葉じゃない。
かと言って、直接言えるほどの勇気もない。どうしたものか。
鳴らない携帯を弄る。特に何をするでもなくアドレス帳を行ったり来たり。
【十六夜アキ】の名前で指が止まってしまった。ああもう。私は末期かもしれない。
かち、と軽い音を立てクリックを一回。画面に表示される電話番号とメールアドレス。
この番号に電話をかけて、この想いをぶつけられたら楽になれるかもしれない。
少なくとも胸のモヤモヤと、ぎゅう、と切なく締め付けられる感覚はなくなるかもしれない。

(でも)

(友情も、失ってしまうかもしれない)

そう思うと怖くて怖くて、急いでクリアキーを押した。画面はパッと見慣れた待ち受け画面に切り替わる。
結局私は臆病なんだ。でもこの怖さをどうすればいいのか、その術が今はまだわからない。

「う、わ!」

手の中の携帯が振動する。同時に流れる流行の着信メロディ。
開いた画面を見て吃驚した。そこに記されてた名前。大好きな、大好きな。

【十六夜アキ】

緊張で通話ボタンを押す指が震える。どうか上手く喋れますように。
ささやかな幸せ。今はまだ壊したくない。
片想いもそう悪くないかもしれない、もう少しだけ私は大切な友情に縋ろうと思った。



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終着駅は大好きなあなたで!




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あきゅろす。
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