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菓子より甘いくちづけ
今年もまた、この季節。普段は夜の街灯などで染まるかぶき町がオレンジ色に染まる頃。天人の祭り、だとか聞いたが菓子が貰えるのならそんなもの関係ない。菓子の為なら猫耳なんて幾らでもつけてやる。

「高杉!菓子寄越せ!!じゃなきゃ悪戯すんぞ!!」
「…てめぇなんでんな格好してんだ」
「銀さん可愛いだろ?可愛いよな?可愛いと思うなら菓子寄越せ」

話を強引に菓子に変える。お願いだから今の俺の格好(と言っても普段の格好に黒い猫耳カチューシャをつけただけなのだが)にはつっこまないでほしい。俺だって恥ずかしいから。流石に銀さんもこの年で猫耳つけるとは思っていなかったんだからね。
出来るなら黙って俺を見つめるのも止めてほしい。恥ずかしいんだって。…真顔は余計虚しくなるから本当やめて。

「生憎、菓子は持ってないんでなァ」

そう言って口角をあげる高杉。なんとなくその言葉は予想出来たが何故口角をあげたのだろう。…きっと良からぬ事を思い付いたんだ。

「とか言いつつ持ってんだろ」
「ねェよ」
「嘘吐け」
「嘘じゃねえ」
「…けち、悪戯してやる」

むす、と膨れても高杉は愉快だと言わんばかりに目を細めるだけ。
高杉に悪戯するなど考えてもいなかった。当然だろう。先程まで菓子が貰える気でいたのだから。猫耳をつけている事が馬鹿らしく思える。

「…!」

悶々と考えていたら気付かぬうちに高杉が接近していたらしく、額に高杉のまっすぐとした髪が触れた。唇には温もり。
キスされているのだと理解するのに時間は要らなかった。けれども突然の事で思考が上手く回らない。呼吸も満足に出来ず、唇を開けば熱い舌が隙間から侵入してくる。

「ん…ぅ、や……ん、ん…」

後頭部と腰に回された手に力が入るのが分かった。なのに俺は甘いくちづけに思考を溶かされ、高杉の肩を押す手に力が入らない。くちづけひとつでなんて情けないのだろう。

漸く唇が離れ、二人の間でどちらのとも言えぬ糸がぷつりと途切れた。途端流れ込んで来た酸素に思わずむせる。

「満足したかよ?」
「げほっ…う、うるせ…」
「てめぇは悪戯も希望してたなァ」
「え、いや、それは違」

最後まで言い終える前に、視界は天井に変わり背に痛みが走った。なにすんだ、と言おうとして開いた唇を再び喰らわれる。
きっとさっきの笑みはこれを思い付いたからだろう、と蕩ける意識の中で考えた。多分こいつの事だから俺が外しそびれた猫耳で楽しむのだ。どうして外さなかったかな。

高杉との行為は嫌いじゃない。このまま身を委ねてもいいと思ったが、その前にハロウィンがどんなものか教えなくてはならないようだ。来年の為にも。



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******

あーんで菓子食べさせるとか、口移しとか色々考えていたのですが結局ここに辿り着きました。ハロウィンを理解していない高杉が書きたかっただけです。もう少し猫耳活かしたかったです。次頑張ります。
お粗末様でした。


  

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