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太陽に誓う
『高杉、好き』

あの言葉を聞いてからどのくらい時が過ぎたのだろうか。何度も喧嘩して、何度もキスをして、何度も抱き締めた。
目指すものが違う事に気づいた夜。互いを忘れようとして離れたはずなのに脳裏に焼き付いた声が、顔が、温もりが鮮明になっていた。きっとそれは。

「おい、左手出せ」
「は?なんで?」
「いいから」

こいつ無しじゃあ駄目って事なんだろう。
差し出された銀時の細く白い指先に唇を寄せる。それだけで慌てているこの男がひどく愛しい。指へのキスを終えて、銀時の顔を見ればいつも以上に頬を赤く染めていた。

「な、なんだよ、急にっ、お、お前らしくねぇ」
「銀時」
「ッ!」

名を呼びながら薬指に銀色のリングを通す。するすると滑り、付け根で止まったそれは白い肌によく映えた。
手の甲に優しく口付ければ呆然としていた銀時が我にかえったようで。

「お、まっ…これ」
「これがどうしたんだよ」
「いや、だっ…て」
「…泣く程嫌だったのかよ?」

ぽろぽろと紅い瞳から伝う粒が、拒絶を示すものだと思った。が首を横に振ったので違うらしい。じゃあ何故。
静寂。銀時は言葉を探しているようにも見えたしただ状況を理解出来ていないようにも見えた。

「違ぇよ…嬉しいの……分かれよ、馬鹿……」

左手を抑えて涙を溢す姿に耐えられなくなって、思いきり抱き締める。それから耳元でそっと囁いた。

「てめぇは絶対離さねェから」

銀時の肩が震え、嗚咽が聞こえ始める。鼻孔を擽る甘い香りが余計に昂らせる気がした。きっと、かつての"戦友"はらしくないと笑うだろう。けれどもそれを嬉しいとすら思うくらいには、溺れている。今も昔も。

「う、嘘じゃ、ねぇよな…ひく」
「当たり前だろ」
「ほ、んと…に?」

「ああ、嘘じゃねぇよ」

瞳を捉えてそう呟けば、こくりと小さく頷く銀時。また涙や嗚咽が溢れ出す。その息さえも俺のものにしたくて、半ば強引に唇を奪う。
誓いのキスと呼ぶにはあまりにも欲にまみれたキスだった。

「銀時、愛してるぜ」

決して離さないともう一度、本当に小さく呟いたのはきっと太陽にさえ分からないだろう。



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高銀の結婚の報せが届くのをずっと待ってます。今度は新婚設定で書きたいです

  

あきゅろす。
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