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小鬼の生まれた日
さっきもらった大福を食べてみる。ぱくり、と口に入れたらすごく甘くてびっくりした。美味しくて、口に入れるのをやめられない。こんなに美味しいのに、どうして松陽は俺にくれたのだろう。少し前に、一緒に饅頭を食べたから甘いものは嫌いじゃないはずなのに。

「銀時!」
「っ…ヅラ?」

考えていたら、突然名前を呼ばれて情けないくらい肩が跳ねた。突然すぎて声が上擦ったけど、気付いていないようでちょっと安心する。

「ヅラじゃない、桂だ。探したぞ」
「なんで?」
「なぜって…今日が誕生日だと聞いたからだが…。…おめでとう。銀時」

そう言って、ヅラは白い花と煎餅をくれた。少しもやもやする。“誕生日”というのもよく分からないし、“おめでとう”と言われた理由もよく分からない。聞こうと思って顔を上げたらそこにヅラの姿はなく。代わりに息を切らした高杉がいた。

「遅くなった…悪」
「なぁ」
「うん?」
「“誕生日”って何…?なんで俺、ヅラに”おめでとう”って言われたの?」

ふさぐように言えば、あの高杉が驚いている。やっぱり、聞くのは変だったのかもしれない。笑われたらどうしよう。『なんでもない』と言おうとしたけれど、うまく声が出ない。どうしよう。

「生まれた事を祝う日、…だから」
「……俺、今まで言われたこと…ない」

自分で言いながら涙がこぼれた。鮮やかによみがえる記憶。震えが止まらない。力を込めたら、さっきヅラがくれた煎餅がぱきりと割れてしまった。でも、力を入れないとまたあの日々に戻るような気がして怖い。

「っ」

高杉の指が涙を拭ったかと思ったら、髪にキスされた。やる相手が違う、と思ったけど何も言えなかった。

今までの空白を埋めるように、何度も言ってくれた高杉。また、涙が出た。今度のに高杉は一切触れてこないから、きっと分かってくれてる。

「これ、やる」

そう言って飴玉の入った瓶をくれた。それからいつか見たあの笑顔で言う。

「銀時、おめでと」
「……うん」

最後のそれが一番うれしくて、泣きながら笑った。俺はこの日をずっと覚えていられるような気がする。



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早いですが銀時誕生日おめでとう!!子銀書くの好きです。

  

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