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サヨナラよりもキスを
「…高杉?」

今日もまた、そうだった。いつもと変わらない。散々あいつの気の済むまで抱かれて、目が覚めれば夢だったかのようにあいつはいない。朝日が顔を出すと共に姿を消してしまう。それを仕方ないと言い聞かせても、寂しいものは寂しいんだ。

カタリ、と玄関で物音がしてまさかと思った。確証も何もない。ただ風で音を立てただけかもしれない。適当に脱いだ靴が倒れたのかもしれない。それでもいい。

「高杉?居るのか?」

掠れた声で問い、目を擦りながら玄関へ向かえばそこには居た。愛しい男が。
高杉は少し驚いたような表情を浮かべ、「てめぇにしちゃあ早ぇな」とからかう様な口調で言った。

「……だって、サヨナラも言う前に帰られるなんてよ…」
「来た時には帰れだとか言ってるくせによォ」
「うるせ……」

今すぐにでも手を伸ばして抱きついて、時を止めてしまいたかった。簡単に会える訳ではないから。こいつは指名手配されるような過激派テロリストだ。しかも京を拠点としている。俺が住んでいるのは江戸。地理的に見てもかなりの距離があった。更に言えば、町で会ったら殺し合う様な仲だ。勿論愛しくて殺す事など出来やしないのだけれど。

「銀時」
「な、んっ、ん!」

『なに?』と続けようとしたのに噛みつく様にキスをされ、言葉が掻き消されてしまった。冴えたはずの意識さえ朦朧としてくる。細く形のいい唇が俺の唇に吸い付いて、甘噛みを繰り返す。熱い舌が口内を駆ける。

「ん、ぅ、あっ…んむ、ふは…」

やっと離れたと思ったら、強く抱き締められて息が止まりそうだった。かと思えば、急に離され思考が追い付かない。
次はただ重なるだけのキスをされ、いやらしく口角を持ち上げる高杉。その笑みが何を示すのかは分からなかった。高杉は何も言わず玄関の扉を開け、ぴしゃりと閉めた。触れた唇がやけに熱を帯びている。

「……馬鹿」

扉の向こうには既に人影は無く、なんだかからかわれた感じだ。悔しい。しかもどうせあいつは分かっているのだろう。それが余計に悔しかった。

『サヨナラ』だとか、『じゃあな』なんて言葉は聞きたくないって事を。

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ラブステージの別れ際のちゅーに萌えた結果です。言葉にしなくても相手の事が分かってしまう高銀可愛い!

  

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