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答えなんて無い
「銀時、んな顔してんじゃねぇよ」
「…だって、俺がもう少し早く気付けてたら、」
「いいっつってんだろ」

天人の手によって、高杉の左目は光を失ってしまった。手を下したのは天人だが、近くに居ながら防げなかったのは俺で。包帯で覆われていない瞳を見る度に、あの綺麗な片方を俺が壊してしまったのだと嫌悪に浸る。

「別にまだ片方見えてんだ…それで充分だろ」

どうして。なんで。俺を責めてくれないのか。普段喧嘩するように、馬鹿だの阿呆だの、てめぇの所為でだの。責めてくれれば楽なのに。
高杉はずっとそうだ。俺が望む様にはしてくれない。俺が責められない事を望めば責めてくれたのだろうか。答えなど知らない。

細い指が俺の頬に触れたと思えば、引き寄せられて唇が重なる。じんわりと伝わる高杉の体温。まだ生きている証。もう少し感じて居たかったが、それは叶わなかった。

「てめぇの所為じゃねえから、泣くな」
「高杉、たかすぎ」

ただ、名前を呼んで泣き続ける。怖かったんだ。失うのが。短く「おう」と聞こえる声は体温と同じく生きている証。此処に居るという証拠。

夜が明ければ再び戦は始まる。終わりの見えない長い戦。後何回、高杉の名を呼べるのだろう。後何度、高杉の体温を感じとれるだろう。
それは壊してしまった俺でも許されるのだろうか。自問自答しても答えなんて返ってこなかった。

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