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001-010
<諦めきれない>(高←銀)銀時視点


“ラーメン溢して捨てた。” 先生と俺が過ごした証拠は容易く捨てられたのに。もう居ないのだと割り切れたのに。俺とあいつが一緒に居た証など手元にはないからなのか、声を聞いてしまったからなのか。それとも過ごした時間が多すぎたのか。高杉を忘れられない。嫌いなはずなのにまだ諦めきれない。


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<何故幸せになってくれないの>(高←銀)銀時視点


「俺なんかじゃお前の事を分かってやれない」そう告げて別れて終わりにしたのに。掠れた声で俺を呼ぶ高杉の表情は何処か悲しそうだった。壊すか守るか。それだけの違いでもう俺達は交わらない。俺なんかよりも鬼兵隊という理解者が居るのに何故、表情だけでも幸せになってくれないんだろうか。


<約束の仕方>(高銀)銀時視点


覗く緑の瞳がいつになく真剣だったことに驚いた。男の唇が動く。首を縦に振った。それを見て小さく口角を上げた男の姿になんとなく泣きそうになる。もう会えなくなるのだと。それを知ってか強く抱き締められ聞こえた声に安堵を覚えた。それから小指を絡めるように唇を合わせる。約束だ、と男は言った。


<はじめて呼びあった日のこと>(村塾高→銀)子高視点


きらきらと光るその銀色は、ただ美しかった。先生から聞いたその名前はそいつに相応しくて。なんとなく口にしてみたくなった。眠るそいつに近付く。自分程の声では起きないだろうと名前を呼ぶ。銀時、と。ゆっくりと開いた赤い瞳に捉えられ、小さく名前を呼ばれる。何もかも突然すぎて、動けなかった。


<蝉時雨に呑まれた>(高銀)銀時視点


焼けるような太陽と、溶けるような蝉時雨の中。前を行く男を呼び止めて、渇いた喉から声を絞り出す。聞こえただろうか、と考えていれば男が近付いてきた。いつもの小馬鹿にしたような笑み。ゆっくりと男の唇が触れる。熱い。ただ呆然と見つめ返す。高杉、と名前を呼んだら男は笑い、言った。「   」


<泣けない夜叉>(攘夷高→銀)高杉視点


硝煙と血の臭いが漂う戦場で、刀を握り締め動かない夜叉が居た。生きてはいる。曇天をただ見上げるだけ。戦場を駆け巡る勇ましさは無かった。夜叉であることが嘘のように思う。全てが弱々しくて触れたら消えてしまうような気さえする。立ち尽くすその夜叉は悲しんでいた。雨が夜叉の涙のように落ちた。


<今日がはじめて>(村塾高銀)子銀視点


ん、とだけ言われて大福が差し出された。もらおうか、と考えていたら大福は既に手の上。我慢できなくなって、口に含む。すごく甘くて柔らかくて思わずおいしい、と声にしてしまった。それを見て高杉が笑う。普段とは違う優しい顔で。つられて俺も笑った。高杉と俺が初めて、幸せを分けあった日のこと。


<準備はいいかい?>(攘夷高+銀)銀時視点


ごくり、と唾液を飲み込んだ。あと少し。刀の柄を強く握り締める。不思議と、ここで死んでしまうのならそれでも良いと思えた。きっと高杉のせいなんだろう。こいつとなら死んだって構わない。空に煙が上がった。合図。高杉を見ずに行くぜ、とだけ叫ぶ。少し遅れてああ、と声。そこからは爆音に消えた。


<きらきらとまばゆい光>(村塾高→銀)子高視点


初めて見たその銀色の髪は、あまりにも美しかった。太陽の光できらきらした、透き通るような色が一瞬で目を眩ませる。それしか、見えない。でもその銀色のせいか、前よりもずっと笑っていられるような気がした。世界がきらきらとしている。なんとなく、銀の光がこの先をも照らしてくれるように思えた。


<今更言っても、もう止まれない>(高銀)高杉視点


やっぱりやめねぇ?と唇が動いた。その声が少し震えている。怖いのだろう。柔らかな銀色の髪を撫でて大丈夫だ、と囁いた。それでも不安そうな瞳が見上げてくる。こいつの不安な思いも分かるが、俺だって何年も待って、漸く手に入れたのだ。今更止められる訳がない。だから、少し強引に口づけてやった。



  

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