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いっそ拘束して
薄暗い部屋の中。障子から差しこむ淡い月の光の冷たさと、聞こえる吐息の熱さが俺達だけを空間から切り離したかのように錯覚させる。体温を吸い込んだ布団が深く皺を刻んだ。

「ん、ぁ…」

深く絡んでいるのは舌か指か。まとわりつくのは髪か感情か。熱を孕んでいるのは俺か高杉か。_そんな事はどうでもいい。俺に触れているのが高杉、という事だけで充分なのだ。じわりと視界が歪む。嬉しいはずなのに。
どんなに思想が違っても高杉の事は好きだ。幼い頃から好きだったのだから、時を重ねすぎた今はもう嫌いになどなれるはずもなかった。

「たかすぎ…っ!」

勝ち目のない長い戦にもうすぐ終止符が打たれる。詳しい時季は分からないし、確証もない。どこかでそんな気がするだけなのだ。
過ぎる快楽に目を閉じれば、当然視界が闇に包まれる。高杉の姿が見えず、吐息が聞こえなかったら孤独かのように錯覚していたかもしれない。

「銀時、」

名を呼ばれるだけでぞくぞくとした。それと同時に今後こいつと離れるような事があるのなら、俺は生きていけないような気さえする。_依存。きっとそれは高杉への執着でも過去への未練でもなく、依存。俺と離れても高杉は生きていける。でも俺は。一人で生活するには誰かと共に居すぎた。人への依存なんて面倒だと思い続けたのに、そんな俺が依存してるなんて。笑われる様な話だろう。
そんな考えを知ってか知らずか、唇が重ねられる。呼吸の合間に唇が僅かに離れるのさえ高杉が離れていくようだった。

「ん、ぅ、…む」

ずっと側に置いていてほしい。それを知ったら高杉は気持ち悪いと距離を取るのだろうか。それは一時の感情だと言うのだろうか。_それでもよかった。もう高杉無しでは生きていけない。けれどもいつかくる終わりに、俺達が今のままで居られる自信もない。
白んでいく意識の片隅でただ離れたくないと、幼子のようにそれだけを考えた。いっそ。俺が離れられないように。高杉が俺を捨てないように。高杉の手で拘束してくれたら。
そこまで考えたところで、意識が途切れた。



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お題は診断メーカーより。互いに依存しあってる高銀可愛いです。高杉も銀時に依存してて拘束したいとか考えてたらいいと思います。
そして私は勉強しなさい。


  

あきゅろす。
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