第一話 僕、オタマロえもん ないないないないない。 ありえない。 だって、あれ、うん。 夢だよ。夢なんだぁぁぁあああ!! ――南こけら、自室。 それは、夏休み初日のことだった。 昨夜、久しぶりに漫画を整理していた。 昔の漫画に読みふけってしまい、結局整理が終わったのは深夜2時過ぎ。 当然起きるのが遅かった。 「ふんぁ。と、け……い」 俺は枕元にある時計を、手探りで探した。 寝ぼけた意識の中、とんっ。何かが手にふれた。 時計発見。と思いながら、つかんだ。 むにっ。 「えっ・・・?」 時計にあるはずがない感触。頭が一気に冴えた。 恐る恐る、その何かをつかんだ手を見た。 「やあ、こけら君。僕、オタマロえもん」 ……ナニコレ。 ――……。 はっ。目がもうこれ以上無理というほど開きながら、目を覚ました。 体中汗がだらだらたれていて気持ち悪かった。 「はぁはぁ、ゆ、夢っ?はぁっ、リアルすぎてびびったわ」 「どないしたんや、こけら君?」 そこには、オタ○ロというポ○モンを頭に、体がド○えもんらしき物体が居た。 そしてそいつが俺に話しかけている。 「ホンマどした?好きな子とデートでもしてはる夢でもみたんか?」 そいつは俺の机の上にコーヒーメーカーをおき、コーヒーをすすっていた。 悲鳴よりも先に出たのは、 「シュールすぎんだろこの光景ぃぃぃいいい!!」 というツッコミだった。 心の中で呪文のように流れる。 ないないないないない。 ありえない。 だって、あれ、うん。 夢だよ。夢なんだぁぁぁあああ!! ▲▼ [戻る] |