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古泉がアイドル

今はテレビの収録中。夏の長時間生放送というなんとも過酷な収録。終盤に差し掛かろうとしているところで既にに体力は限界をむかえようとしているところのことだった。

「さて古泉さん!」
「なんでしょう?」
そんな中でも絶やさず笑顔。

「古泉さんといえば最近ある女優さんと噂になっていますが本当ですか?」
嫌な質問をぶつけてくる若手芸人。プライベートだったら迷わず睨みつけている。
「いえ、彼女とはドラマでご一緒させていただいただけですよ。」
上手に笑えているかな。
「ほんとですか〜?」
にやにや笑わないでください。
大体僕にはちゃんとお付き合いしている人がいる。隠しているのは別にアイドルだからではなくて、男性だから。僕は全然気にしないむしろ自慢したいのだが彼の方がそういうことを非常に気にするのだ。

「うーん、怪しい。怪しい!実は付き合ってる奴いるんじゃねぇの?」
いきなり口調が変わった若手芸人。馴れ馴れしいな。
「と、言うわけで登場していただきましょう!」
「えっ?」
登場?何が?
若手芸人の合図と共に出てきたのは白いカーテンと、女の人のシルエットだった。いや…


「…キョ」
思わず彼のあだ名を叫ぼうとして若手芸人に口を塞がれる。きっと今カメラはシルエットを映しているだろうから誰にもみられることはなかっただろう。そのまま彼は続ける。

「これはあいつの意思だ。女装もな」
なかなか似合ってたぞ、と笑った彼をようやくしっかりと見た。
若手芸人は谷口だった。

「さて、このシルエット古泉さんには誰だかおわかりですね?」
テレビ用に声を張る谷口くん。
「…はい、僕の最愛の人です。」
観客からのどよめき。ああやっと言える。堂々と言える!

「僕はあの人を愛しています。」
そのまま僕はカーテンの向こうに走る。そこにはカツラを被って女物の服を着たキョン君がいた。

「ふふっ、似合っています。」マイクを外す。ちょっとだけ、ただの彼の恋人に戻る。

「うるせぇ、男だってバレたら困るのはお前だろうが」
「僕は構いません。男でも女でも僕はあなたが好きなんですから。」
「そーかよ、」
照れている彼を思わず抱きしめる。ああ、疲れた身体を彼が癒してくれる。

「もしもーし…お楽しみ中申し訳ないのですが生放送中ですよ〜!」
現実に戻す谷口君。
もう少しだけ彼を感じたい。そう思っているとグイッと引っ張られた。

「お〜っ!なんとも積極的な恋人さんですね〜!」
彼からのキス!初めてじゃないだろうか… 思わず夢中になってしまった

「ばっ…!舌入れんな…っ!」「すいません、抑えられそうにもないです。」
イメージ崩壊かななんて考えながら何度も口づける。

「も…時間だから…」
後は帰ってからな…という彼をこの場で押し倒したい欲求を抑えた。
「わかりました…」
「古泉さーん、どうですか〜?お楽しみは終わりましたか〜?」
谷口君の声だ。 マイクをつけて答える。
「すいません、今戻ります」
「何言ってんだ。お前の出番はもう終わってんぞ?」
「でも、生放送まだ終わって…」
「エンディングなんざ一人いなくてもバレやしないし、何よりお前には最重要任務がある。」「最重要任務?」
「売れっ子アイドルと生放送中にあっつーいキスをしてしまったお姫様の護衛だ。」
「…ありがとうございます!」
ここでふと疑問に思ったことがある。
「あの、」
「なんだ〜?」
「失礼ながらどうしてここまで仕組めたのでしょう?」
もしかしたら相当な無理をさせてしまったのではないか
「国木田だよ」
「国木田さん、ですか?」「あいつ今出版界で大きな権力持ってるらしいからな…詳しいことは俺も恐くてきけん」
なるほど彼ならあり得そうだ。
「恐らく後処理もあいつがどうにかしてくれるだろう」

その通りだった。
アイドルの熱愛発覚だと言うのに批判的なコメントや記事が出ることはなく、むしろ清々しくて好印象とプラスな方向に向かっていた。


売れっ子から超売れっ子となった僕だったがその後は浮いた噂は流れず、バカップル特集などに呼ばれるようになった。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
2012/07/27

古泉アイドル
谷口芸人
国木田出版
というパロディでした


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あきゅろす。
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