◆渚カエ
原題:眠れるの森の美女
あぁ、コレは夢だ。パステル色の空を見上げて確信する。
その不思議な森を探索していると、緑髪の少女と出会った。小柄な自分より更に小さい身体で、顔は可愛い…解りやすい願望。
「僕はナギサ。えっと…君は?」
「判らない。もうずっと昔で忘れちゃった」
とりあえず今回は『カエデ』でいいや。彼女はそう言って無邪気に笑った。
意味がよく分からなかったけど、どうせ夢なのだからと自己解決させて、僕は泡沫の時間を楽しんだ。
そして、どれだけ時間が経ったのか…会話が途切れたとき彼女は表情を暗くして僕に告げる。
「ナギサ、私の夢に付き合わせちゃってごめんね」
彼女は気が遠くなるほど長い年月眠り続けており、時折無作為に誰かを夢の中へ呼んでしまうという…俄かには信じられない話。
これは僕の夢の筈なのに…彼女のその悲しい笑顔は酷く心をえぐった。
「もう会えないけど…楽しかったよ」
そう言って彼女が繋いだ手を離すと景色が霞み始める。
消えていく彼女の名前を呼び、手を伸ばしたところで…僕はいつものベッドの上で目覚めた。
BGM:やましずく様【十三番目の黙示録】
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