◆殺あぐ/↓続き
※続き。どうしてもリンの台詞を雪村先生に言わせたかった。
そんなやり取りをしたのが、一週間前。
私の身体は自力で起き上がるどころか指一本も動かせないくらい衰弱しきっていた。
私をこの姿にした者が言った『此処へ来た者が一週間以上この場を離れると死ぬ』というのは本当だったらしい。
動かない身体を横たえて、天井を仰ぎ見ながら頭を過ぎるのは彼女の姿。
始めは怯えて私を避けていたけれど、少しずつ距離を縮めてくれた彼女。
数十年の孤独の中で凍てついた、この心を溶かしてくれた…お日様のような人。
例え貴女が此処へ戻らなくても、私の心は十分に満たされています。
最期に人として、貴女を愛することが出来て良かった。
私は、幸せでしたよ……
「…物語はまだ終わりじゃないです」
降ってきた声に、重くなった瞼を薄く開ける。
「言ったでしょう、私はハッピーエンドが好きなんです。…だからお願い、私を悲劇のヒロインにしないで?」
彼女の瞳から零れたものと、それとは別の涙が私の頬を伝わる。
それと同時に視界に映る彼女が握っている異形の手が…人間のものへ変わった。
BGM:やましずく様【暁のモノローグ】
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