◆菅中/↓菅谷視点
「…なんで今言うんだよ」
「だって今逃したら次がいつか分かんないでしょ」
そう言った中村は昔カルマと悪巧みしているときや悪戯が成功したときのように楽しそうに笑う。
なんだよ…まさか冗談なのか?だとしたらタチ悪いな本当。
「だったみたい、って…過去形なわけ?」
「よく分かんない」
「なんだそりゃ」
「言いたかっただけだから、忘れていいよ」
一人だけスッキリしたみたいな顔しやがって…つか、こんなシチュで言われたことを忘れるほど俺は馬鹿じゃないっての。
とにかく、中村の言葉の真否はどうであれ、このまま言い逃げされるのは癪だ。殺せんせーだって、やられたらやり返せって言ってたしな。
そう意気込んで、ようやくこちらを向いたその額に握り拳をコツンと当てる。
「じゃあ、俺の方が勝ちだな」
精々、驚きやがれ。
「俺は現在進行形でお前が好きだし」
そう告げると、中村は目をパチクリして呆けていた。
…あ、ヤバい。今すごい抱き締めたいわ。
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