◆菅→中/↓菅谷視点
海外へ行く自分の見送りと称して近況報告をし合っているE組の仲間達を見て、相変わらずだなぁと苦笑いする。
それでも暫くはこんな場面を見れなくなるんだと思うと名残惜しいものだ。
さっきまでその輪の中にいて、今は自分の隣に座って休憩している中村の「会えなくなる」という言葉に、そんなことを思った。
「どこら辺行くの?」
「んー…まずはイタリアだろ、次はフランス辺りか?まぁ、ヨーロッパは回りたいな」
「無計画かい!らしいっちゃらしいけど」
「中村もいずれ海外出るつもりなんだろ?」
「まあねー」
元々英語が得意だった中村は他の外国語も学んで翻訳家になるのが夢だ。だから勉強のために色々な国に渡ってみたいと言っていた。いずれは自分と同じヨーロッパ諸国にも来るのだろう。
(いつか、会えればいいな)
そんな夢物語を思っていたら、相変わらず皆の方を向いた体制の中村の口から、思いがけない言葉が出てきた。
「私さぁ…アンタのこと好きだったみたい」
一瞬、耳を疑った。
いやいや…なんでこのタイミングなんだよ
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