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◆菅←中

高校を卒業してすぐ、菅谷は美術の勉強のために海外へ渡ることになった。
E組にいた頃の面談でも美術の道に進みたいと言っていた彼だから、いずれそうなるだろうとは思っていたけれど、当時はまだまだ未来の話で現実味は感じなかったのだと思う。
でもこうやって彼が旅立つことが決まって、空港に居る今は嫌でも実感してしまう。

「気軽に会えなくなるんだなぁ…」

見送りに乗じて近況報告をしている皆を遠巻きに見ながら、隣に座っている菅谷の方は見ず、一人心地にそう呟くと聞こえてたらしい彼が小さく「まぁな」と返した。

別に今生の別れというわけじゃない。連絡は取り合えるし、ネットを使えば映像付きで話すことだって出来る。
でもこうやって直接会って話せる機会なんて、彼が行ってしまえば暫くは来ないだろう。
その現実を思い知らされて、私はようやく気付いた。

「ねえ、菅谷」

あぁ、もう本当…遅すぎだろ、私。



「私さぁ…アンタのこと好きだったみたい」

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