番外編
6
翌日。
「………(--;)」
想像通り、奏汰は国光の隣で寝ていた。
くぅくぅ、と、規律良い寝息を洩らし、安心しきった表情である。
自分に安心感を抱いてくれているのは嬉しい反面、複雑な思いを抱いていた。
「お前は、俺を何だと思っている?」
聞かれてはいないだろう言葉。
それが自然に零れ落ちる。
「う…?」
「…起こしたか?」
まだ醒めやらぬ眼のまま、少し離れてしまった温もりを探して、奏汰の指先が動く。
国光は、そんな奏汰の様子を見守る。
すると、指先が温もりに触れた瞬間、隙間を埋める様に動く。
ぎゅう、と、抱きつくと再び眠りに落ちる。
「何だったんだ…(-д-;)」
奏汰が甘える相手が国光だけ、そして、それが"特別だ"と云う事に、国光は気が付いていない。
「仕方のない奴だ」
クス、と、優しい笑みを浮かべ、国光は奏汰の頭を撫でる。
すると、「ふにゃ」と寝言らしき物を洩らし、にっこり、と笑う。
そんな奏汰が愛しくて。
[愛しい……?]
国光は、そんな思いを払拭するかの様に、視線を窓に向けた。
きっとこの思いは、妹として見ているからの"家族愛"に近い物だ、と。
だから、愛しく思うのだ、とそう結論付けてしまった。
実際は、そうではないのに。
そんな事を考えていると、もぞり、と、奏汰が身動く。
ふるり、と、瞼が震えた。
ぱちぱち、と、瞬きを繰り返し、ふ、と顔を上げる。
国光と視線が絡まる。
「…くーちゃんだ(*^^*)」
すり…と、頬を擦り寄せる。
腕の中にいるウサギは、国光の思いを知ってか知らずか、きゅう、と抱きついてくる。
寝起きのウサギは、極度の甘えたであった。
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