番外編
3
国光の部活がない時を狙って、クローゼット内の整理を手伝って貰わないと、直ぐに一杯になってしまうのだ。
「ハチミツくん、見て見て」
「ん?」
奏汰が手に持つ物、それは、色褪せたパステルブルーの子供用テニスウェア、である。
「そんな物まで取っておいたのか?」
「ん〜…、捨てられなかったんだよね」
「…」
ミックスダブルスを組んで居た時に着ていた、テニスウエア。
国光とお揃いにした為、周囲には良く"双子"に間違えられた。
そんな過去が、脳裏を過ぎった。
「コレ着てる時、何時も双子に間違えられたんだよね〜。全然似てないのに」
「二卵性と思われたんだろう」
「そっか」
奏汰は広げていたテニスウエアを畳むと、クローゼットの中に仕舞い込んだ。
フリフリフリフリ……。
また、尻尾が揺れている。
どうやら、国光と一緒の考えだったのが嬉しいらしい。
「判り易い奴だ」
「何か云った?」
こてり、と小首を傾げ、国光を見る。
国光は首を左右に振る。
「気の所為か。あ、お茶とケーキ持って来るね〜」
奏汰は、パタパタ、と足音を立てて、部屋を出て行く。
「慌ただしい奴だ」
国光は苦笑いを浮かべて、扉を見つめた。
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