ラピスラズリの泪 002 それから数日後――…。 景吾は、あの女子生徒と逢う事はなかったが、判った事が幾つかあった。 彼女が編入生である、と云う事。 一卵性の双子であり、氷帝創立以来の好成績を修めたと云う事である。 「今度、編入生来るんだって」 「へぇ〜。男だったら、イケメンが良いなぁ」 「頭脳明晰で、容姿端麗なんですって」 女子生徒の噂話。 これがあって、噂は一気に学園内を駆け巡る。 どうして、女性は噂話が好きなのだろう。 そんな疑問が過ぎるものの、直ぐに打ち消す。 それもその筈。 編入生の学内案内に、生徒会長である景吾が指名されたのだ。 断ろうとするものの、理事長直々の指名なのだから、断る事は難しい。 はてさて、困ったものである。 何時もは、他の役員に振っていたのだが、理事長直々なのだから、中途半端な案内では済まされない。 景吾は、小さく溜息を吐きながら、重い足を動かしたのだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |