ラピスラズリの泪 003 陽汰の仮入部の日。 奏汰までもが付き添い、部室に姿を見せていた。 『それでは、姉様の事、宜しくお願い致します』 『妹ちゃんは、入らんの?』 『家庭の事情がございますので』 『負ければ、落ちるなんて、一緒よね〜』 『……何かあれば、連絡下さい。直ぐに駆けつけますから』 『大丈夫よ』 『………ますます心配です』 『過保護』 『姉様!』 そんなに心配なら、一緒に入部すれば良いのに、と思う。 けれど、奏汰は首を縦に振る事はなかった。 『メニューは普段通り+α加算致しておりますので、悪しからず』 『悪魔め』 『……何か仰いまして?』 『ねー、今日は外食にして、一緒に居てよ〜』 話をすり替え、奏汰の腕を掴むと、左右に揺さぶる。 それは、陽汰の甘え方、である。 『……外食でございますか?』 『ねー、奏ちゃん、良いでしょ?』 『では、姉様。部外者のボクは帰ります。終わり次第連絡――……』 『見学者で良いじゃん。奏ちゃん、お願い(^人^)』 『…仕方ありませんね。今回だけ特別ですよ』 『やたっ(*^^*)』 『ふふっ』 ぎゅう、と奏汰に抱きつく陽汰。 一卵性双生児が抱き合う、貴重な場面なのだが、いかんせん。 2人のシスコンに、引き気味のメンバー達であった。 [*前へ] [戻る] |