ラピスラズリの泪 001 陽汰・奏汰が編入生、として氷帝に来てから数週間が経過した。 その間に、奏汰の隠れファンクラブなる物が発足。 その名も、 『氷帝の白雪姫を愛でる会』 である。 上級生(主に男子)や下級生(男女問わず)に人気が高く、学内アンケートで、もしお姉さん(妹)にしたい、メイドさんにしたい1は?とあれば、間違いなくダントツ1位を獲得するだろう。 もし、奏汰本人がその事を知れば、即日解散させられているだろう。 そして、盗撮されただろう写真を回収する事、数十回。 景吾は、その写真達を見つめ、盛大な溜息を吐いた。 「珍しい事もあるもんやな」 「忍足か」 丸眼鏡を掛けた少年―――…忍足侑士が、景吾に話し掛けながら、徐に、写真を手に取った。 「白雪姫の写真やん。一枚頂戴」 「それはシュレッダー行きだ」 「勿体ないやん」 「お前な…」 「冗談や」 景吾の睨みに、軽く手を挙げる。 しかし、数十枚にも上る写真達を目の前に、溜息を吐きたい気分も判ってしまう。 「そう云えば…」 「アン?」 「お姉ちゃんの方、テニス部に仮入部したんやて?」 「あぁ。妹は家庭の事情とやらで、部活動や委員会には入らないそうだ」 「へぇ」 氷帝では、部活動、又は、委員会のどちらかに入らなくてはならないが、免除される場合がある。 [次へ#] [戻る] |