Wonderful days 待ち合わせを決められました 「家に寄るの?」 テニスの話は終わり、と、云わんばかりに、奏汰は話題を変える。 「その心算だが?」 「ん、判った。今日はお魚だ」 「構わない」 「じゃあ、ボクは先に帰る」 「家はどっちだ?」 「あっち」 奏汰が指し示す方を見て、国光は盛大な溜息を吐く。 「う?」 「エントランスで待っていろ。直ぐに終わらせる」 「あぅ…(; ;)」 奏汰を引き留めたい時には、決まってコレをする。 極度の方向音痴を知っている国光ならではの方法なのだ。 その事に関して、奏汰は気付いてはいない。 「………」 その様子を黙って見ていた景吾は、国光の眼差しの中に、優しさが含まれているのに気が付いた。 [成る程ね] 滅多に見せない国光の優しさに、笑う。 「……何だ?」 「何でもねェよ。行くぞ」 国光と景吾は、エントランスに奏汰を置いたまま、歩き出す。 すると、女子生徒達は、一斉に奏汰に群がる。 その様は、砂糖に群がる蟻その物だ。 「かーなた(^^)」 「何だい?その笑みは」 「一緒に居てあげる」 「要らない」 一刀両断である。 「何でよ!!」 「キミ達の目的は、ハチミツくん達だろう?ハチミツくんは、見世物パンダじゃないぞ(・言・)」 冷たく鋭い眼差しが、周囲を取り巻く蟻の群れに向けられた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |